特定調停(とくていちょうてい)は、債務者(借りている人)と債権者(貸している人)の間で借金の返済条件を調整するために、裁判所が間に入って行う手続きのことです。
これは、裁判所の調停委員が中立な立場で関与し、両者が合意に達するよう支援します。
特定調停を申立てすることができるのは特定債務者(債務者)です。
特定債務者とは、借金の返済ができなくなって経済的に破産する恐れのある人のことを指します。
債務者に完全に返済能力がない場合などは、債権者との合意は見込めないため、特定調停を申し立てることはできません。
特定調停のメリット・デメリット
メリット
- 裁判に比べて手続きが比較的簡単で、費用も低額
- 裁判所の判決に比べて、双方の合意による柔軟な解決が可能
- 債権者の取立てが停止する
- 財産を失うことがなく、資格の制限もない
デメリット
- 借金が免責される(なくなる)わけではない
- 債権者と合意できない場合、調停は不成立となる
- 返済能力がない場合、申立てができない場合がある
- 約束を守らなければ、強制執行される場合がある
手続きの流れ
- 1)申立て
- 債務者が特定調停を申し立てます。
申立ては、債務者の住んでいる地域の簡易裁判所で行います。 - 2)調停委員の選任
- 裁判所が調停委員を選任します。
調停委員は中立の立場で、両者の話を聞きます。 - 3)調停の開催
- 調停委員が債務者と債権者の双方の意見を聞き、返済条件の調整を試みます。
- 4)合意
- 双方が納得する条件がまとまれば、調停が成立してその内容が正式な合意として記録されます。