差し押さえ[さしおさえ]

「差し押さえ」とは、債務者が債務を履行しない場合に、債権者が法的手続きを通じて、債務者の財産や権利を強制的に確保する手続きのことです。差し押さえは、民事執行法に基づき行われ、債務者が金銭の支払いや義務を履行しない場合、債権者が裁判所を通じて債務者の財産や収入を差し押さえ、その財産を換価して債権回収に充てることを目的としています。

差し押さえの手続き

差し押さえを実行するためには、まず債権者は「債務名義」という法的な権利を証明する文書が必要です。債務名義とは、たとえば確定判決や支払督促のような、裁判所が債務の存在を認めた文書のことです。この債務名義をもとに、債権者は裁判所に対して強制執行を申し立てます。裁判所がその申し立てを認めた場合、差し押さえが実行されます。

差し押さえの対象となるのは、債務者の財産全般です。具体的には、不動産や動産、給与、預金、さらには債権(他者に対する請求権)などが含まれます。これにより、債務者が所有する財産や収入が、債権者に優先的に提供される形となります。

差し押さえの対象

給与

債務者が会社員などで定期的な給与を得ている場合、給与の一部が差し押さえの対象となります。給与の全額を差し押さえることはできず、生活費を考慮した上で一部が差し押さえられます。通常、給与の4分の1までが上限です。

預金

銀行口座にある預金も差し押さえの対象です。裁判所から金融機関に通知が行き、債務者の預金が凍結され、その一部または全額が債権者に渡されます。

不動産

土地や建物といった不動産も差し押さえられる場合があります。不動産は差し押さえ後、競売にかけられてその売却代金が債権者に分配されます。

差し押さえを回避する方法

差し押さえを回避するためには、債務者はできるだけ早い段階で債権者と交渉し、返済計画の見直しや分割払いなどの合意を図ることが重要です。また、差し押さえが予告された場合でも、弁護士や司法書士に相談することで、法的な対応策を講じることが可能です。債務整理や破産手続きを通じて、差し押さえを防ぐ方法もあります。

差し押さえは、債権者にとって有効な回収手段ですが、債務者にとっては大きな経済的打撃となるため、早めの対応が求められます。

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