「催告書」とは、特定の義務を果たしていない相手に対して、その義務の履行を求める正式な通知文書です。通常、金銭の支払い、物品の引き渡し、または契約上の義務の履行を要求する場合に用いられます。債権者が債務者に対して金銭の返済を求める場合や、取引先に未納の代金を支払うよう促す際など、さまざまな場面で使用されます。催告書は、相手に対して法的措置に至る前の最終的な警告としての役割を果たします。
催告書の目的
催告書は、主に以下の目的で使用されます。
- 1.義務の履行を促す
- 義務を果たしていない相手に対して、特定の行動(支払い、納品など)を求め、対応を促すことが催告書の主要な目的です。これにより、相手がその義務を果たすことで、法的手続きを回避することができる場合もあります。
- 2.法的措置の前提となる通知
- 法的措置を取る前に、相手に最後のチャンスを与えるための通知です。例えば、債権者が債務者に対して金銭を請求する際、いきなり裁判を起こすのではなく、まずは催告書を送付し、任意の支払いを求めることが一般的です。これにより、後に裁判となった際に「事前に履行を求めた」という証拠になります。
- 3.時効の中断
- 債権や請求権には時効が存在し、一定期間内に請求しないと、その権利が消滅します。しかし、催告書を送ることで時効が中断される場合があります。時効の中断が認められるのは、内容証明郵便など、相手に対して確実に意思を伝えた場合です。これにより、権利が失われることを防ぐことができます。
催告書の主な内容
催告書には、以下のような基本的な情報が記載されます。
1.当事者の情報
債権者と債務者、または請求者と相手方の氏名や住所を明確に記載します。これにより、誰が誰に対して請求を行っているのかが明確になります。
2.請求内容
具体的な請求の内容を明記します。例えば、未払いの金額や納品されていない商品、履行されていないサービスなど、相手方に求める行動を詳細に記述します。
3.期限の設定
催告書には、義務を果たすべき期限を明記することが重要です。この期限を設けることで、相手方に対して明確な対応のタイムフレームを示し、対応を促します。例えば、「本書受領後、7日以内に支払いを行ってください」といった具体的な期限を設定します。
4.法的措置の警告
期限までに対応がなされない場合、法的措置を取る旨の警告を記載します。これにより、相手方に対して催告が単なる要求でないことを示し、無視すれば法的な問題に発展する可能性があることを伝えます。
催告書の送付方法
催告書は、相手に確実に届いたことを証明するため、通常は内容証明郵便で送付されます。内容証明郵便は、郵便局が文書の内容と送付日を証明するもので、後に相手が「そんな文書は受け取っていない」と主張した場合にも、確実に送付されたことを証明できます。これにより、法的手続きに進む際の証拠として有効です。
また、相手方が受け取らなかった場合でも、送付した事実自体が重要な証拠となり得ます。そのため、相手が文書を拒否することを防ぐためにも、内容証明郵便が利用されるのです。
催告書が無視された場合の対応
相手方が催告書を無視した場合、次のステップとして法的措置を取ることが考えられます。具体的には、訴訟を提起するか、または支払い督促や強制執行といった手続きに進むことができます。催告書を送付した事実は、法的手続きにおいて「事前に任意の解決を求めた」という証拠として有効であり、裁判でも有利に働く場合があります。
まとめ
催告書は、債務者や契約違反者に対して義務の履行を求めるための重要な文書です。義務の履行を促すとともに、法的措置の前提となる警告として機能します。適切な送付方法と明確な内容を備えた催告書を送ることで、トラブルの早期解決や、後の法的手続きにおいて有利な立場を築くことが可能です。