配偶者貸付け[はいぐうしゃかしつけ]

「配偶者貸付け」とは、主に消費者金融が提供する貸付制度の一つで、法定上限を超える借り入れを希望する場合に、配偶者の同意を得た上で融資が受けられる仕組みです。これは、日本の貸金業法に基づく「総量規制」の例外措置として存在します。総量規制とは、消費者が借り入れできる総額を、年収の3分の1までに制限する法律で、この規制により多重債務の発生を防ぐことを目的としています。

ただし、年収の3分の1以上の借入れが必要な場合に、一定の条件を満たすことで、配偶者の収入を合算して融資を受けることが可能になるのが「配偶者貸付け」です。以下では、その詳細な仕組みや要件、メリット・デメリットについて解説します。

配偶者貸付けの仕組み

配偶者貸付けは、消費者金融や信販会社などの貸金業者が提供する貸付制度で、夫婦間で収入を合算して借入額を増やせる制度です。総量規制によって、個人が借り入れられる金額は、年収の3分の1までに制限されています。しかし、配偶者貸付けを利用すれば、配偶者の年収を合算し、夫婦の年収の3分の1まで借入額を増やすことが可能です。

具体的には、債務者(借入者)とその配偶者が共に収入を有している場合、双方の年収を合算して、その合算額の3分の1までの借入れが認められます。たとえば、本人の年収が300万円、配偶者の年収が200万円である場合、合計年収は500万円となり、その3分の1である約166万円まで借り入れが可能になります。

配偶者貸付けの要件

配偶者貸付けを利用するには、いくつかの要件があります。まず、配偶者が同意し、一定の手続きや書類提出が必要です。以下が代表的な要件です。

1.配偶者の同意
配偶者貸付けを利用するには、配偶者の同意が不可欠です。この同意は書面で行われ、通常、貸金業者に対して配偶者の署名や同意書を提出する必要があります。配偶者が同意しなければ、この制度を利用しての借り入れはできません。
2.収入の証明
借入者本人だけでなく、配偶者の収入も証明する必要があります。これには、配偶者の給与明細や源泉徴収票などが用いられます。貸金業者はこれらの証拠をもとに、夫婦合算の年収を確認し、借入額を決定します。
3.配偶者が借金を抱えていないこと
配偶者貸付けを利用するためには、配偶者がすでに多額の債務を抱えていないことが重要です。既存の借り入れが多い場合、総量規制の対象になるため、配偶者の借入れと合わせて年収の3分の1を超える借り入れはできません。

配偶者貸付けのメリットとデメリット

配偶者貸付けのメリット

配偶者貸付けを利用することで、以下のメリットがあります。

1.借入額が増える
個人の年収だけでは十分な融資を受けられない場合でも、配偶者の収入を合算することで、借入可能額が増加します。これにより、住宅のリフォームや大きな医療費など、一時的に多額の資金が必要な場合に対応できる可能性が広がります。
2.総量規制の制限を超える借り入れが可能
総量規制により個人の借入額が制限されていますが、配偶者貸付けを利用することで、この規制を超えた借入れが可能です。法律上の枠内であれば、必要な資金を手に入れる手段として有効です。

配偶者貸付けのデメリット

一方で、配偶者貸付けにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

1.配偶者の同意が必要
配偶者貸付けは配偶者の協力が不可欠です。配偶者に借金を知られることに抵抗がある場合や、同意が得られない場合には、この制度を利用することはできません。また、夫婦間の信頼関係が前提となるため、家庭内でのトラブルを招く可能性もあります。
2.配偶者も返済義務を負う可能性
配偶者が同意した借入れに関しては、返済責任も夫婦双方に及ぶ可能性があります。もし借入者が返済できなくなった場合、配偶者が肩代わりして返済を行わなければならない場合があるため、注意が必要です。
3.手続きが煩雑
通常の借入れに比べ、配偶者貸付けは必要な書類や手続きが増えるため、融資を受けるまでに時間がかかることがあります。配偶者の収入証明や同意書の提出など、事前準備が必要です。

配偶者貸付けの利用が適しているケース

配偶者貸付けは、主に以下のようなケースで有効です。

  1. 個人の年収だけでは希望する額の融資が受けられない場合
  2. 配偶者と協力して計画的に借り入れを行いたい場合
  3. 一時的に大きな資金が必要で、返済の目途が立っている場合

ただし、配偶者貸付けを利用する際には、返済計画を慎重に立て、無理のない範囲で借入れを行うことが重要です。特に、配偶者と共同で借金を抱えることになるため、家計全体を考慮した上での判断が求められます。

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