借金を帳消しにする方法|借金に時効はあるの?夜逃げは逃げ切れる?

人が借金をするには様々な理由があります。
自分で会社をおこしていてその経営資金であるとか、急な冠婚葬祭で現金が必要になる、病気になって治療費にお金がかかったから、などです。

返す事が出来る場合はすぐにでも返すのが基本ですが、諸事情により返したくても返す事ができないこともあるかもしれません。

借金を帳消しにすることはできるのでしょうか?
今回は借金の帳消しはできるのかどうか、できるのならその方法について紹介します。

借金帳消しの方法とは

実際に、借りたお金をなかったことにする、つまり借金を帳消しにする方法はあります。

それも法律に基づいた方法ですから、犯罪をおかすわけではありません。
ただし、借り入れたものをゼロに、これ以上の返済義務をなくすわけですから、簡単ではありません。

1、自己破産

「自己破産」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。これは債務整理の1つで、借金をなくすことが出来ます。
しかし、当然ですがデメリットもそれだけ大きなものとなります。

◆自己破産のデメリット

  1. 家や土地など不動産は取り上げられる
  2. 生活必需品を除く家財などの財産は処分される
  3. 貯金・証券・株式などが没収される※1
  4. 7年間は信用情報機関に記録が残る
  5. 新しいクレジットカードを作れない
  6. 借金ができない
  7. 一部の職業につけなくなる

失う自由は決して少なくありません。

※1 銀行口座は99万円以下であれば保有することが許可される

2、借金の時効

民法で規定されている制度で、一定期間放置されている借金は、制度を利用すればなくしてしまうことが可能となります。

◆時効

  • 権利を行使することができる時から10年
  • 権利を行使することができることを知った時から5年のいずれか早い方(借金の場合は、通常は5年)

制度を利用するには、この間に裁判上の請求がなされず、督促もなく、返済の事実もないことが条件です。

更に期間が無事に経過した後に、制度を利用することによって借金をなくしたいという意思をはっきりと示す必要があります。

この意思表明を「援用」と呼び、相手に対して内容証明文書を使って意思表示をするという行為が必要です。
実際に内容証明を通知しただけで借金が消滅した事例もありますが、これはあくまでも友人や身内といった一般人が相手の場合が多いでしょう。
銀行などから融資を受けた場合、一定期間何もアクションがないということはあり得ませんし、消滅時効の完成は難しいと言えます。

夜逃げや海外逃亡は現実的ではない

映画やドラマでよく見るため、「全てを捨てて夜逃げをすれば、借金から逃れられるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
確かに借金の時効を迎えるまで逃げまくることが出来れば、返済しなくても済むことはあります。ただし、現実問題として、夜逃げや海外逃亡は成功する確率が著しく低いです。

法律では借金にも時効がありますが、金融業者は回収できない債権はすぐに債権回収業者という専門家に売り渡してしまいます。彼らは取り立ての専門家ですから、法的に利用可能なあらゆる手段を尽くして債権回収を試みますので、回収から逃れることは困難です。

また海外逃亡をするにはお金が必要ですし、言葉の問題やそこでの生活の問題も浮上します。さらに、債権者が海外にいても日本で裁判を起こすことは可能です。ですから時効はその度にリセットされてしまいます。

このように夜逃げや海外逃亡は、根本的な問題解決にはなりません。

自己破産する方法

借金を帳消しにする2番目の選択肢として紹介した自己破産をする方法について説明します。

自己破産は、債務整理を行うことで個人の再建の手助けをしてくれる制度であり、法律によって定められているちゃんとした手続きです。
やり方は、裁判所に自己破産の申し立てをすることから始まります。
必要書類を申請し、申請が受理されれば地方裁判所にて審尋となります。
その後、何らかの財産を持っているのであれば、管財人が選ばれ債権者に配当を配ります。特に財産がなければ免責(支払いを免除してもらうこと)となるかどうかの審理が行われ、最終的にOKかNGかの判断がなされます。

つまり、自己破産の申請をすれば誰でも確実に免責が決定となるわけではありません。

例として、借金を作った原因が自身のギャンブルだったとか、身の程知らずの浪費などであった場合、免責を受けることが出来ないことも多々あります。

自己破産での免責不許可とは

先に述べたように、破産申請をすれば誰でも免責となるわけではありません。自己破産では、まず最初に「破産する」ことを認めてもらい、さらに「それを理由にして支払い免除を認めてもらう」という流れが必要です。

ここではっきりと覚えておかなくてはならないのは、例え破産状態であることは認められても、支払いの免除が認められるわけではないということです。

裁判所で免責を認めてもらえないことを、免責不許可決定と言います。その結果となってしまうには、以下のような行為がみられる場合です。

  • 財産を隠していた
  • 財産を予め換金していた
  • 特定の債権者にだけ偏って返済していた
  • 嘘をついてお金を借りていた
  • 裁判所で嘘をついた
  • ギャンブルなど身勝手な理由の財産の減少

つまり、不当な行為があったことがバレた場合です。破産が認められても免責とはなりませんので、借金帳消しにはならないわけですから、くれぐれも不当行為がないようにしなければなりません。

また、そもそも借金の免責の対象とはならないものもあります。破産状態であること、また免責が認められたとしても、初めから対象ではない借金は返済義務が残ったままとなります。

◆自己破産しても免責にならないもの

  • 税金の支払い
  • 不法行為に基づく損害賠償
  • 故意や重過失で人を害した損害賠償
  • 養育費や慰謝料

離婚して別れた妻に子供の養育費や慰謝料を支払う必要があったけれど、自己破産したからもう払わなくても良いとはなりません。
税金の滞納も、自己破産ではなくなりません。

専門家に相談しよう

借金を帳消しにするには、現実的には自己破産しかないのか、と決心する方もいるでしょう。自己破産は救済制度ですので、利用することに罪悪感を感じる必要はありません。

むしろ、いっそのこと命を絶ってしまおうと考えるほどに追い詰められている方は積極的に利用しましょう。

自己破産は裁判所への申し立てが必要となりますし、提出しなければならない書類もたくさんあります。裁判官へ自分の状態を説明する必要もありますので、それに対する助言も大切になってきます。

ですから全てを単独でしようとはせず、弁護士や司法書士などの専門家に代理人になってもらうことを強くおすすめします。

その方が時間も手間もかなり節約できます。

初回相談は無料である事務所も多いですし、どうしてもお金がなければ法テラスに相談する、という手もあります。弁護士などの専門家に支払うお金は分割払いにしてくれるところもありますので、それらも含めて相談してください。

あまりにも多く複雑になってしまった借金から逃れるために債務整理をするのであれば、速やかに代理人を立て、彼らと相談しながら手続きをしましょう。

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