離婚問題などで別れた夫が子供の養育費を払わなくなり、給料の差押えをしようと考えている、などという話で聞くことが多いと思いますが、「給料の差押え」とは何か、知識があやふやだという方も多いでしょう。
給料の差押えとは?
- 借金をしている人が返済を滞らせた場合に、業者が裁判所を通して借金をしている人の勤め先から強制的にお金を回収する手段
これは法的に認められた手段であり、実行されると以下のようなデメリットがあります。
- 会社や周囲に借金がバレる
- 手にできる収入が減る
前述の離婚による養育費の支払いを滞納している場合は、差押えをすることで養育費を給料から強制的に取ることが出来るわけですが、他の理由の借金でも同じことが可能です。
借金があれば給料差押えがあるのは本当か
金額の多少に関わらず借金があり、しかもそれを滞納してしまった場合、業者はその人の給料を差押えてお金を回収することが出来ます。しかし少し滞納してしまっただけでは、すぐに財産を差し押さえられ、回収が始まるわけではありません。
理由としては差押える方は一定の手続きを踏む必要があるからですが、実際に給料を差押さえてお金の回収を実行するのは、以下のような場合です。
- 支払い督促を無視した
- 裁判で和解していたがその約束を破った
- 裁判で強制執行が認められた
- 失効証書がすでに作成されている
特に最初の支払督促を無視してしまうと、強制差押えはすぐ目の前です。
支払い督促申立書を無視し、裁判所に異議を唱えることが出来る期限の2週間を超えてしまうと、次は仮執行宣言付支払い督促申立書が送られてきます。
これが届けば業者はいつでも強制執行を申し立て出来るようになりますし、通常の訴訟よりも早く強制執行が出来るという点、費用が安く抑えることが出来るという点から、消費者金融などでは多く利用されています。
年金は差押えされない
給料を貰っていない年金受給者ではどうなるかというと、結論から言えば、年金は差押え禁止とされています。
差押えは給料や口座、土地や家は対象ですが、年金は非対象となっていますので借金を滞納しても年金を貰えなくなるわけではありません。
差押えの対象やその上限とは
差押えと一言でいっても、何が差押えられるのか、給料の差押えはいくらまでなのかなど、わからないことが多いと思います。
ここでは差押えの対象と、給料の差押え上限と計算方法について説明します。
対象はお金に替えることができるもの全て
差押えの対象となるのは、お金に換えることが出来るものすべてです。
給料・預貯金・自宅・土地・自動車や大型テレビなど、高額で生活必需品でない物もその対象となります。
給料の差押えの上限額と計算方法
借金やローンを滞納した結果差押えをされる場合、給料は手取り金額の4分の1までが上限です。しかし33万円をこえた部分は全額差押えることが可能です。
33万円を超える手取りであれば、どちらか金額が多い方が回収されます。
つまり手取りが40万円だった人の場合、33万を超えた分6万円になり、40万円の4分の1は10万円となるので、4分の1の方の10万円が差押えとなるわけです。
一度で金額を回収できない場合には連月給料が差押えられ、それは請求額を全額回収するまで続きます。
預貯金は、例えば育児手当のように国から支給されているお金以外はすべてが対象です。全額差押えされることも多いですが、口座が凍結されるわけではありませんのでその後も利用は出来ますし、通帳やキャッシュカードも取り上げられません。
差押えの対象はあくまでも、借金をした人名義のもの・財産だけとなります。
つまり家族で一緒に暮らしているからといって、家族の預貯金や給料は対象にはなりません。
車や家や手続きが必要な上処理にも時間がかかるので、差押えの優先順位は低くなります。
差押えを防ぐには
前触れを無視していれば、差押えはある日突然やってきます。
いきなり上司に呼ばれて給料の差押えを告げられたり、いつも使っている車が使えなくなったり、執行官が家を訪れて財産の選定を始めるのです。
そんなことは困るでしょうし、生活にもかなり影響があるでしょう。
ではそんな事態を防ぐためには、どうすることが正解でしょうか。
1、督促状を絶対無視しない
差押え前には電話や書面で督促があるのが普通です。書面を受け取った時に、債務者である業者に連絡を取りましょう。
すぐの支払いが難しい時には事情を説明し、相談することが大切です。
2、約束は守る
当たりまえのことですが、債務者である業者と話し合って約束したことは、必ず守ることです。約束をきちんと守っている限り差押えにあうことはありませんし、支払う意思があると認めてくれます。
どうしても守れない、という時は事前に連絡をいれるようにしてください。
3、裁判所からの書類は異議を申し立てる
裁判所からの書面を無視した結果、どうしようもない状況に陥ってしまう人はたくさんいます。裁判所からの書面は無視しないようにしてください。
すぐに業者へ電話連絡をいれるか、支払いが難しいなら2週間以内に異議申し立てをしましょう。
裁判になって和解できれば、調書に書いてある約束を守ることが必要です。
4、プロに相談する
自分では本当に分からない、どうしようもないと焦るあまり無視するというのが最悪な状況を招きます。
そんな時には出来るだけ早く、弁護士や司法書士などのお金のプロに相談をしてください。