サラリーマンでも簡単にできる税金の節約術3選|ふるさと納税・iDeCo・医療費控除

年末調整によって税金の申告を済ましている多くのサラリーマンにとって、税金の節約は確定申告が必要だったり、添付書類の作成が必要だったりと面倒なイメージがります。
確かに、税金の節約には面倒な手続きが必要なものがあります。
しかし、中には拍子抜けするほどに簡単な手続きで税金の節約ができるものもあります。
今回は、そんな簡単な税金の節約術にスポットをあてて解説していきます。

そもそも、節税の仕組みって?

我々が普段支払っている「所得税」や「住民税」というのは、ある一定額に税率を掛ける事で算出されます。
この一定額というのは1年間の「収入」から、「この額は税金の計算に含めないよ」という部分を引いた額です。
この部分を「所得控除」と言います。

例えば、年収300万円から190万円の所得控除を受けられた場合、税金計算の対象となる額は110万円です。
これに税率を掛ける事で納めるべき税金の額が決定します。
では、所得控除の額が200万円であった場合、税金計算の対象となる額は100万円となりますので、当然ながら税金の額は低くなります。
要は所得控除を増やす事が、サラリーマンの税金を節約する上で最も重要なポイントとなり、これが節税の仕組みにもなります。

実は簡単!所得控除を増やして税金を節約する方法3選

所得控除と一言でいっても、その種類は様々です。

例えば、年間で支払った社会保険料の額が対象となる「社会保険料控除」、誰でも無条件で一定額が対象となる「基礎控除」、収入の少ない配偶者(妻や親など)を持つ人の納税負担を軽減する為の「配偶者控除」などがあります。
ここからは、そんな所得控除のうち、サラリーマンでも比較的簡単に受ける事ができる所得控除を利用し、税金を節約できる方法3選を紹介します。

税金の節約術 1 ふるさと納税による寄付金控除の利用

ふるさと納税とは

  • 貢献したい市町村にお金を寄附する事ができる制度
    寄附した額に応じて、その自治体の特産品などが返礼品として頂けるのが特徴

このふるさと納税で寄附した金額は、税金控除の対象となり、このような控除を「寄付金控除」と言います。
ふるさと納税のケースでは、寄附した額から2,000円を引いた額が本来収めるべき税金から控除されます。

例えば、10,000円ふるさと納税した場合は、8,000円が税金から控除されます。
要は実質2,000円で10,000円に応じた返礼品が頂けるという事です。
また、この寄付金控除を受けるにあたって、ふるさと納税をした自治体が5つ以下であり、そもそも確定申告が必要ない人に対しては、「ワンストップ特例制度」を利用して寄付金控除を受ける事ができます。

寄付金控除の申請方法について

ふるさと納税による寄付金控除の申請を行う場合、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2つの方法があります。

今回は確定申告を必要とせず、ほとんどのサラリーマンが利用可能な「ワンストップ特例」に焦点をあてて紹介します。

ワンストップ制度は、簡単に説明するとふるさと納税を行う度に、総務省の公式サイトよりダウンロードできる「ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」を自治体に提出して、控除額を申告できる特例です。
※ワンストップ特例申請書のダウンロードはこちらから


この申請書を作成の上、身分証明書と合わせてふるさと納税を行った先の自治体に送付して下さい。
※自治体によっては郵送ルールや申請書のフォーマットが異なる場合がありますので、その場合は自治体のルールに従ってください。

税金の節約術 2 老後の積み立てと節税の一石二鳥「iDeCo」の利用

iDeCoとは

  • 自身で毎月一定額を積み立て、そのお金で定期預金や投資信託などを利用して資金運用し、その運用で得た利益を60歳以降に一時金(一括)または年金(分割)で受け取る事ができる私的年金のうちの一つ
    正式名称は「個人型確定拠出年金」


定期預金や投資信託といった資金運用はiDeCoを使わずとも利用できる金融商品ではありますが、iDeCoを利用して資金運用すると、税制優遇を受ける事ができ、税金の節約を行う事ができます。

例えば、資金運用の為に毎月積み立てる額。iDeCoではこの積立額(掛け金)の全額が所得控除に上乗せされます。
また運用によって得た利益。本来であれば20%程の税金が発生しますが、iDeCoの場合は非課税です。
更に、60歳を超えて利益を受け取る際も、所得控除が適用される為、通常の資金運用でえた利益を受け取る際より、多くの金額を受け取る事ができます。

例えば、iDeCoでの利益を一時金(一括)で受け取る場合。
これは税制上「退職金」という扱いになり「退職金のうち、この分の額は非課税だよ」な分「退職所得控除」の対象となります。
そして年金(分割)で受け取る場合は「年金のうち、この分の額は非課税だよ」な分「公的年金等控除」が適用されます。なお、これらの所得控除は年末調整で処理できますので、サラリーマンの方は確定申告を行う必要もありません。

iDeCoの控除を申請する方法について

積立金を所得控除の対象として申告する場合

  • 年末調整の書類「給与所得者の保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」という項目にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」に、年間で支払った掛金の合計額を記載する

iDeCoで掛金(積立金)を支払うと、「掛金の控除証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)」が送付されますので、それに記載されている額を記載すれば問題ありません。なお、申告の際は、掛金の控除証明書と合わせて企業に提出して下さい。

税金の節約術 3 医療費控除の利用

医療費控除とは

  • 1年間(1月1日~12月31日)を通して自身、または家族の為に支払った医療費を控除額に充てる事ができる制度


所得(課税対象)の年間合計額が200万円以上の場合は10万円を超える分、それ以下の場合は総所得額×5%を超える分が控除の対象です。
治療を目的とした出費であれば、基本的には医療費控除の対象となり、更には通院に必要な交通機関の利用料金(相当な理由があればタクシー代も含む)や処方箋、薬局での医薬品購入代も控除の対象です。
医療費として認められる範囲は広めに設定されている為、家族がいるサラリーマンの方であれば、税金節約の効果は高い方法と言えるでしょう。
また、医療費控除は2018年1月より、申告に際に必要であった領収書が不要となり、比較的簡単な手続きで申告できるようになりました。
但し、医療費控除は年末調整で処理する事はできず、サラリーマンであっても確定申告を行う必要があります。

https://free-saimu.com/post-2826/

医療費控除の申請方法について

医療費控除を申請する場合、確定申告書の他に国税庁の公式サイトから「医療費控除に関する明細書」をダウンロードし作成する必要があります。通院などで発生した交通位は、医療費に上乗せする形で記載して下さい。
※医療費控除に関する明細書のダウンロードはこちらから

次に確定申告書ですが、これは基本的に源泉徴収票を丸写しする形で構いません。
国税庁の公式サイトにある確定申告書作成ツールにて、源泉徴収票の通りに記載項目を入力していけば簡単に作成できます。次に、申告書Aにある「所得から差し引かれる金額」の18項目、「医療費控除」に、医療費控除に関する明細書に記載した医療費を記載して下さい。
※国税庁 確定申告書作成ツールはこちら
あとは税務署に医療費控除に関する明細書と合わせて、確定申告書を提出して医療費控除の申請は完了です。

これらの控除で、どれだけ税金が節約できるか

年収300万円の独身サラリーマンが以下の出費を控除申請したと仮定します。

仮定の申請

  • ふるさと納税で1万円を寄附
  • iDeCoで年間12万円を積み立て
  • 医療費で年間20万円の支払い

まず、サラリーマンの方は「この分はサラリーマンにとっての必要経費だから税金は課さないよ」な分が控除されます。これを給与所得と言い、今回の例を国税庁の「給与所得控除の速算表」に当てはめると、収入から「108万円」が控除されることになります。
※給与所得控除の速算表はこちら

ここから、誰でも例外で受けられる「基礎控除」と、社会保険料が控除される「社会保険料控除」が適用されます。
基礎控除は所得税の所得控除が38万円、住民税の所得控除が33万円です。
そして社会保険料ですが、今回は年間で44万円支払っていると仮定します。
これら所得控除を収入から引くと、以下のような所得(課税対象)が算出できます。

所得税の所得控除 190万円
住民税の所得控除 185万円

これに税率を掛けることで、実際に納税する額が算出されます。所得税の場合は国税庁の「所得税速算表」に当てはめて税率を出します。今回の例だと5%です。
※給与所得控除の速算表はこちら
住民税は全国一律で10%なので、これらを掛けて従来支払うべき納税額を算出します。
すると、結果は

所得税 55,000円
住民税 115,000円
納税額 17万円

になります。これに、冒頭で挙げた「ふるさと納税」「iDeCo」「医療費控除」分の所得控除を引きます。

ふるさと納税分 8,000円
iDeCo分 12万円
医療費分 所得税分の控除105,000円 住民税分の控除104,250円

まずは、iDeCo分と医療費分の控除を受けた場合の納税額を算出します。
そこからふるさと納税分を引くと、その額は

所得税:43,750円 ( 収入 – ( iDeCo分 + 医療費分 + 従来の控除額 ) × 0.5%
住民税:92,575円 ( 収入 – ( iDeCo分 + 医療費分 + 従来の控除額 ) × 10%
納税額:128,325円 所得税 + 住民税 – ふるさと納税分

以上の事から、41,675円の税金が節約できたことがわかります。
数字ばかりで難しいと思う方もいるかと思いますが、イメージとしてはこのような形で税金の負担を減らす事ができると考えて頂ければ問題ありません。

まとめ

今回は、サラリーマンでも簡単にできる税金の節約術に絞って紹介しましたが、少し難易度が高めなものを上げれば、サラリーマンの資格取得や接待費、更にはスーツ代までもが控除の対象となる「特定支出控除」。
住宅のローンにおいて、一定の割合に相当する額が控除の対象となる「住宅ローン控除」などが挙げられます。
本気で税金を節約したいという方は、少し手間がかかるけど税金の節約が控除できる制度も積極的に狙っていくのがよいでしょう。
もしお手軽にできるものというのであれば、今回紹介した税金の節約術3選にチャレンジしてみてください。

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