引越しを決意
返済額は月に5万なら何とかなるので、それで4社との交渉を進めてもらっていたのですが、大変な事態がひとつ起こりました。
クレジットカード会社の1社が家賃の引き落としと同じ会社だったため、家賃と任意整理を分けるのに交渉期間が必要とのこと。また更新月だったため家賃プラス10.5万円が必要になったことから、思い切って安い賃貸に引っ越すことを決意しました。
司法書士さんも「僕も個人的にその方がいいと思います」と言っていました。
任意整理をすると保証会社の審査が通らない?
しかし心配な点もありました。
親が年を取っていて連帯保証人になることは無理でした。そして今現在任意整理をしていて保証会社の審査が通らないのではないか?ということでした。
すると司法書士さんから「賃貸の保証会社は、クレジットカード会社やローン会社の信用情報機関とは別なので全く通らないわけではないです」と言われ少し安心しました。
後で調べると最近は以下の場合は通らないのだとわかりました
- クレジットカード会社が母体の保証会社
- 家賃の引き落としがクレジットカード会社の場合
しかしそうではない物件はたくさんあるので、そういう物件を選ばなければいいと知りました。
駅徒歩18分、築25年の6畳1K
そのため部屋探しの時は、家賃よりも築年よりも部屋のスペックよりも、まず物件資料の「保証会社」という項目を真っ先にチェックしていました。
更新料が発生してしまうまでほとんど時間がない中で、あわてて部屋探しを始めました。
東京の中でも人気のあるエリアを避けて庶民的なエリアに焦点を絞ります。駅から近いと家賃が高いので自転車生活を決意し、駅徒歩20分までは許容範囲としました。
家賃10.5万円の家は築浅で一人には広かったのですが「一人で寝に帰るだけだから汚くなければいい」と割り切って、駅徒歩18分、築25年の6畳1Kのアパートで家賃は共益費込みで4万6000円の物件に決めました。思ったほど汚くもなく、外観もおしゃれな普通のアパートです。それまでと比べると差額は約6万円。ランニングコストを大きく削減できます。
初期費用は家賃に乗せて一年間分割払い
いくら安いアパートとは言っても初期費用が…と悩んでいたら、初期費用は家賃に乗せて一年間分割で払えるプランで契約できるとのこと。また本来は「前家賃」と「仲介手数料」は先に払わなければならないのですが、不動産会社に相談して給料日まで待ってもらい、先に入居審査をしてもらえました。保証会社の審査が通るのか心配だったのですが、正社員で人並みの収入だったため4万6000円の家賃はすんなりと通りました。
「会社員はつまらない。独立したい」と思ってしまったのが借金生活の始まりでしたが、やはり正社員のありがたさを感じます。
部屋は狭くなったが心に余裕ができた
ちょうどボーナスが出たので引っ越し費用の心配はなく、気持ちよく新生活を迎えられました。今までよりも狭い部屋、築古の部屋ですが、不自由さもみじめさもまったく感じませんでした。今まではカツカツだった財布に毎月約6万円多く残るのだから、むしろ豊かな気持ちです。
債権者となるクレジットカード会社、ローン会社への返済が始まる前に、分割で司法書士事務所に手数料を振り込みます。手数料と司法書士事務所へダブルでの返済は借金で相談する人にはまず難しいので手数料を完済してから、債権者への返済がスタートする仕組みとのことでした。
手数料を振り込み、債権者との和解書が届きました。4社で合計4万8000円。
月々の返済額は高いところ、安いところがあり、返済期間も長いところ、短めのところがあります。最短の会社で返済まで2年。最長の会社で4年近くです。司法書士さんがすべての会社と個別に交渉してくれたんだな…とありがたい限りでした。
任意整理で立て直し完済間近
それからコツコツと毎月返済し、3社の支払いは既に完済しました。後は最も期間の長い1社を残すのみ。それも月に1万7000円なので負担の重い額ではなくなっています。その後、収入も増え少しずつですが、貯蓄もできるようになりました。
クレジットカードは作れませんがVISAのついたデビッドカードを持っているので、大半の店舗でクレジットカードとして使えますし、ネットショッピングにも不自由はありません。
むしろ自分の銀行口座にある分しか使えないので、私にはちょうどいいと思っています。
私が借金生活から立て直せたのは、以下の二つがあります。
- 勇気を出して司法書士事務所に相談したこと
- 家賃の安いアパートに引っ越したこと
もともと借金がふくらんでしまったのも「家賃」という大きなランニングコストを甘く見ていたことでした。
振り返ると東京に来る前に会社を辞めて独立した時も「固定収入ではなかった」こと以上に、事務所の地代家賃が圧迫していたと思います。
家賃は月額で言うと10.5万円と4.6万円で「大差はない」と感じてしまいますが、年間だと126万円と55万2000円。70万以上もの差額です。
リボ払いの恐ろしさは「気づきにくい」こと
さらに定額リボ払いの恐ろしさは「気づきにくい」というところにあるのではないでしょうか。
月々に支払うのは少額だから、あまり負担と思わない。怖さに気づかない。だけど延々と利息を払っているだけで、元金はほとんど減っていません。
負担額が少ないと気づかずに、大きな借金は5年10年塩漬けにして残ったままになってしまうのです。若い、働き盛りのうちはよくても、定年になったら…その前に病気やハプニングで収入が途絶えることだってあります。
司法書士に相談して穏やかな生活を取り戻した
私はハプニングのおかげで司法書士事務所に相談し、今は身の丈にあった家に住み、穏やかに過ごして貯蓄もできるようになりました。
思いもよらなかった借金に悩まされてしまった原因として、人生の中でいくつかの選択を失敗したポイントがいくつかありました。
- 特に強い志もなく、周囲に流されて会社員を辞めてしまったこと
- 固定費となるランニングコストを削るという発想がなかったこと
1は「何が何でも独立したい」というなら、資金も仕事も確保も含めて十分準備してからにするべきだったと思います。
2はミニマムに独立する方法はいくらでもあり、わざわざ地代家賃がかかる事務所を借りたり、設備投資をいきなりする必要はなく、軌道に乗って事業を広げる段階でもよかったはずです。
そして固定費が圧迫してきた時にクレジットカードやキャッシングなどで安易に乗り切るのも間違っていたと思います。
さらにTのもっともらしい「助言」「アドバイス」に流されてしまっていたことが失敗でした。確かに彼に直接金品を提供してはいなかったのですが、都合よく洗脳されていたのは否めないと思います。
身の丈に合った暮らしを忘れていた過去
さらにいろんな出会いがあり、ステップアップもできたので後悔はしていないのですが、その時点で上京するのではなく、一旦実家に戻り借金をなくして生活を立て直してから…という賢い選択もできたでしょう。
上京してから「身の丈に合った暮らしをする」という当たり前のことができなかったのも大きな失敗です。事実、私はリーズナブルなアパートに住み、収入に見合った暮らしをしている今の方がずっと幸せに暮らしています。
例えば以前のように「毎月数万円の利子を払っても200万円を越える借金返済の未来が見えない」という状態では、結婚を視野に入れる相手がいても二の足を踏んでいました。
ところが「毎月17000円くらいをあと一年くらい払う」という今は、パートナーとの将来に抵抗はなくなりました。
借金はプライベートなライフプランまでも狭めてしまうことを実感。今では金銭的な余裕だけでなく、人生における心の余裕を取り戻すことができました。
もし郵便ポストを空けるのが憂鬱なほど…電話の着信が怖いほど悩んでいる方がいたら…迷わず司法書士などに相談することをおすすめします。請求が止まり、月々無理のない金額で返済ができ、完済も貯蓄もできる…当たり前の幸せを取り戻せるかもしれません。