新型コロナウイルス感染拡大により、雇用の悪化や減収などで教育費を工面できなくなるといったケースが増えつつあります。
特にすでに在学中であり、年単位の学費を支払わなければいけない場合や、卒業はしているが返済中であるといった場合、今後の見通しがたたない現在の状況では途方に暮れてしまうことでしょう。
このような事態を受けて、独立行政法人 日本学生支援機構では「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援」として支援策を公表しています。
支援策
日本学生支援機構の出した支援策は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、減収や収入や途絶えるなどして学費などを工面できなくなった在学中の学生へ向けたものと、現在奨学金を返還中、もしくは返還を開始するが奨学金の返還が厳しい人へ向けたものがあります。
支援策は以下の二通り向けたものに分けられる
- 学費などを工面できなくなった、在学生向け
- 奨学金を返還中、もしくは開始するが奨学金返還が厳しい人向け
在学中の学生向けの支援
新型コロナウイルス感染症の影響により、学費などを工面できなくなった在学中の学生や保護者に向けた支援策です。
在学中の学生向けの支援は以下の3つになります。
- 給付奨学金
- 緊急採用(第一種奨学金)
- 応急採用(第二種奨学金)
給付奨学金
新型コロナウイルス感染症の影響後の収入状況が、住民税情報に反映される前に支援が必要な場合、影響後の所得の見込みにより要件を満たせば対象となります。
給付事由とは?必要な証明書は?
給付のための事由は主に4つあります。
- 生計維持者(片方・又は両方)が死亡
- 生計維持者(片方・又は両方)が病気により、半年以上就労が困難
- 生計維持者(片方・又は両方)が失職
- その他
大抵の場合は1~3に該当すると思います。それぞれの事由と、提出する書類を紹介します。提出に必要な書類は、それぞれ違います。それぞれ必要な書類の他に「その他に必要な提出書類」も必要となりますので、ご確認ください。
1. 生計維持者(片方・又は両方)が死亡
以下のいずれかを提出します。
- 戸籍謄本(抄本)
- 住民票(死亡日記載)
2. 生計維持者(片方・又は両方)が病気により、半年以上就労が困難
以下の両方の提出が必要です。
- 医師による診断書
- 病気で休職中であることの証明書
3. 生計維持者(片方・又は両方)が失職
以下のいずれかを提出します。
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険受給資格者証
4. その他
生計維持者が震災、火災、風水害等に被災した場合で、次のA.Bいずれかに該当すること
- 上記1~3のいずれかに該当
- 被災により、生計維持者(片方・又は両方)が生死不明、行方不明、就労困難など世帯収入を大きく減少させる事由が発生
その他に必要な提出書類
先程紹介した、それぞれに必要な書類以外で申請必要な書類は以下になります。
- 給与明細等
- 給付奨学金シミュレーション実施結果のコピー
給付奨学金シミュレーションは進学資金シミュレーターで行うことができます。
「給与収入」と「給与・年金以外の所得」の欄には、収入が減少した月(1か月分)の金額を12倍にして入力、そのほかの空欄を埋めると、支援対象となるか判定ができます。
申し込み手続き
申し込みは、先程紹介した提出に必要な書類が揃っていなかったとしても、まずは在学している学校に相談してみてください。
ただし給付奨学金の対象となる学校は、国か自治体の確認を受けた学校となります。これについては文科省のページをご確認ください。
>文部科学省「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」
緊急採用(第一種奨学金)
給付奨学金の対象とならなかった場合は、緊急採用(第一種奨学金)を検討してください。
対象となる人
- 家計がひっ迫する事があってから12ヵ月以内
- 短期大学・大学・大学院・専修学校(専門課程)・高等専門学校に在学中の人
- 学力基準・家計基準を満たしている
現在高等学校生の人は対象外となるので注意してください。
学力基準・家計基準については以下をご確認ください。
応急採用(第二種奨学金)
先に紹介した給付奨学金や緊急採用(第一種奨学金)に比べて採用されやすい内容となっています。利子がかかりますが、貸与額を月額2万~12万円の間で1万円単位で選ぶことができます。
対象となる人
- 家計がひっ迫する事があってから12ヵ月以内
- 短期大学・大学・大学院・専修学校(専門課程)・高等専門学校に在学中の人
- 学力基準・家計基準を満たしている
休学・留年・留学中の人は対象となりません。
学力基準・家計基準については以下をご確認ください。
奨学金を返還する人向けの支援
卒業をして奨学金を返済する人・これから返済を開始する人へ向けての支援もあります。
奨学金を返済する人は多くの場合社会人であるため、コロナウイルス感染症の影響による内定取り消しや解雇、収入減に陥り返済が難しくなるといったことがあります。
減額返還
月々の返還額を3分の1にまで減額することが出来る制度です。月々の返還額が少なくなるため、返還による負担を減らすことが出来ます。
最長15年まで延長が可能です。
対象となる人
- 当初約束した割賦金を減額すれば、返還が可能である人
申し込みには、マイナンバーと願届の提出が必要です。
詳細は以下をご確認ください。
返還期限猶予
一定の期間、返還期限を延長することが出来る制度です。
最長10年まで期限を延長することが出来ますが、毎年申請が必要です。
詳しくは以下をご確認ください。
支援制度を活用して負担を減らしましょう
学費や奨学金を支払えなければ、学生生活を送れなくなったり、気持ちや生活に余裕がなくなったりします。
一人で抱え込んで諦めず、制度を最大限活用して厳しい今を乗り切りましょう。