【実録】「廃墟生活」で借金返済 多重債務で任意整理した31歳

【体験者のプロフィール】

  • 性別 :男性
  • 職業 :ライター兼Web製作者
  • 年齢 : 31歳
  • 借金 :100万円程度
  • 対応方法 :任意整理

かつてうつ病で退職した僕は、男としての自信がなくなっていました。仕事がもっとできるようになりたい、お金が欲しい、人並みの恋愛を楽しみたい、社会から認められたい…。そんな事を考えた僕は、あるとき「人生を変える」自己啓発セミナーに興味を持ち始めました。

六本木にあるシェアハウスで、有名ネット起業家と会い、Web系コミュニティに顔を出す。新しい世界で、自分より偉くて賢い人に会えば、僕は今までの自分とは変われるはず。そのためには多少の出費やリスクを背負うこともいとわない。

そう考えたのが借金地獄のきっかけでした。それは僕が28歳くらいの時でした。当時のこの考えと行動によって、僕は結果的に100万円の借金を背負って苦しむことになるのです。

自己啓発セミナーが多重債務への入り口

当時、僕が参加したセミナーは、自分自身と経済状況を変えて、望まない会社員といったライフスタイルを卒業しよう、といった趣旨でした。
 セミナーの前半ではWebコンテンツ作成術や起業家マインドセット(=物事の考え方)や添削指導やケーススタディ講義などを扱い、セミナーの後半では講師達と都会で夜遊びする。といった内容でした。
● 毎日とにかく遊べ
● 環境を変えろ
● 付き合う人を変えろ
…そんなカッコいい言葉に参加者は酔いしれていました。そして僕もその中の一人でした。東京の周辺で行われるセミナーであったため、僕はより内側に入り込みたいと思い、六本木にあるシェアハウスに住み始めました。

自己啓発を言い訳に夜遊びの日々

今思えば体感の乏しいビジネスごっこでした。深く考えずにただ集めた100冊近い自己啓発本を部屋において読書。
当時の僕は毎日のように酒を飲んでは夜遊びするような日々。僕も周りの同居人も、「こうなったらいいな」ばかりが先行していました。

豪快さや華やかさが悪いとは言いません。感受性や華やかさも時には必要です。でもそれは、それなりの真面目さや誠実さ、地に足ついた現実味あってこそです。僕たち参加者には信じられないくらい現実味が欠けていました。
そして僕は多重債務の道に突き進む事になっていきました。

かさむ出費。銀行融資に消費者金融

セミナーは分割払い、六本木にあるシェアハウスの高い家賃も毎月支払わなければなりません。毎日の日常でも地味にお金がかかります。その出費は田舎出身の僕からすれば考えられないペースです。ごく普通に外を出歩いているだけでも、お金がかかります。たとえズボラでもいいから家計簿を毎月つけていれば、現在のライフスタイルでは赤字であること、その赤字を解消するには何年もかかることは気づくことができるはずでした。
そして何よりも、たった数ヶ月で返済が不可能になることは明白でした。
しかし僕は、そのたったひと手間すらやりませんでした。

甘い考えで作ったクレジットカード

大手銀行のクレジットカードで数万円借りることが、次の災いを呼びました。「別の仕事の収入が入るから、返せるはずだ」という甘い見込みで借りてしまいました。そんなにうまく仕事が舞い込むはずもなく、次第に経済的にカツカツになっていきます。社会から認められるスキルと実績、仕事を回してくれる人間関係、確実で定期的な収入源、それなりの貯金。そういった確実な根拠なしに、華やかな都会暮らしをすべきではありませんでした。

多重債務へ

そうこうしているうちに、銀行の個人融資の上限金額に到達してしまいました。僕は消費者金融に手を出ました。都会の雑居ビルを上がった先にある無人契約機コーナー。そこには誰もいません。風通しが悪くて、ガランとしていて少し埃っぽい空間。誰かの寂しさと焦りがそれとなく漂う雰囲気。オペレーターと話すだけで完了する比較的ゆるい審査。僕の借先は2社3社と増えていきました。

雑居ビルの無人契約機は、シェアハウスから徒歩10分程度のところにありました。その気軽さから、当時は良く利用していました。無人契約機から借りたり返したりするために、しばらく通っていました。そうして通っているうち、借金で利息を返している状態に、僕は陥りかけていきました。

辛い返済の日々に任意整理を決意

借金してキツかったのは、とにかく利息が減らない事でした。利息のためだけに仕事をしているみたいな状況になってしまったのです。これ以上勉強することもできない、遊びにも行けない、人と余裕をもって食事に行くことすらもままならない・・・生活の全てが借金返済のために費やされている日々でした。

任意整理するべく司法書士の先生に相談することに

自転車操業の日々が続き「もはや自分一人では完済できない・・・」「真剣に生活を建て直さないと・・・」そう考えた僕は、司法書士の先生にお世話になって任意整理をする事にしました。自分なりにネット検索して予備知識をつけて、自分なりに司法書士の先生を探して、メールを送って、返済のための具体的計画を描いていただきました。返済までの計画を、やっとたてることができたのです。

自己破産で逃げ切ることも考えた

当初の僕は、もっと借りて自己破産すれば逃げ切れるんじゃないか、などと考えていました。しかし、司法書士の先生に相談した結果、任意整理することにしました。
なぜなら自己破産すると、まだ僕が抱えている奨学金の保証人である両親と従兄弟が、奨学金返済の義務を肩代わりせねばならなくなるからです。「僕の知恵では負った負債からは逃げ切れない。未来に重荷と汚点を負った・・・」そんな陰鬱な気分に僕はなりました。しかし、ここは腹を括るべき時と決意した僕は、書類にサインしました。

現在は廃墟に住んで返済を続ける

その後に都会を離れた僕は、いろいろな経緯を経て、現在は家賃0円のオンボロ廃墟に住んでいます。この廃墟は天井が半分崩壊して、灰色コンクリートがむき出しに見えています。言いたくはないですが、ネズミにゴキブリに隙間風、そして時には壁にキノコが生えるような家です。
周辺には、ただ寂れた商店街と廃墟だけがあります。周りの老人達は、ただただ毎日同じ仕事を、淡々と続けています。若い男女が今を謳歌して、自分自身を楽しんでいる・・・そんなきらびやかな雰囲気など周辺にありません。

完済を信じて地道に返済する日々

今の僕は、そのオンボロ廃墟で、非常に質素な生活をしています。ひたすら仕事して、ひたすら勉強して、ひたすら副業でWeb制作する毎日。華やかな生活をして、ひたすら遊んでいたかつての僕は、そこにいません。華やかなのは、いつも参考にしている商業用Webサイトと、自分が作るWebサイトのデザインくらいです。しかしそれでも、支払い完了の日が確実に近づいてきているのを実感しています。

任意整理に後悔はない

現在の私はまだ返済途中です。毎月3万円程度を地道にコツコツ返済しています。そんな返済途中の私が感じるのは、真面目に足元を固め抜くことだけが現実を動かす、という事です。1つ1つの仕事に心を込める。相手に信用されるように動く。ノルマやレベル感や成果を確認する。新しいことに挑戦するのは、地道に地盤を固めた後で良いのではないか。今の私はそう思うようになりました。

任意整理することで制限されることも多々ありました。しかしこれは自分の見通しの甘さが原因で起こったことだと、今は自分への戒めとして受け止めています。借金を背負い任意整理をした、この経験を無駄にしないよう、心にとめてこれからの人生を歩んでいこうと思います。

よく読まれている記事