毎月の収入だけでは足りない、または転職などで収入が減ったことを理由にお金を借りる方は意外に多いものです。また、生活するためのお金に困って借金をしている場合、返済に充てるお金がないのが実際のところでしょう。
一度借金をすると、なかなかその生活から抜け出すことはできません。そして、ずっと借金のことで頭がいっぱいになり、将来に絶望。
その結果、うつ病になってしまうことも珍しくありません。
そこで当記事では、借金苦でうつ病になった場合の返済について、主な解決策をまとめています。
借金を理由にうつ病に苦しんでいる方はぜひ参考にしてください。
まずは病院の診察を受けてうつ病の治療をはじめる
うつ病かもしれないと感じたら、心療内科や精神科などに行って医師の診断を受けるようにしましょう。治療開始が早いことで、回復までの期間も短くなしやすい傾向があります。
うつ病の症状はさまざまですが、以下を参考にしてみてください。
- いつも気分が憂鬱
- 脱力感に倦怠感が抜けない
- 不安や絶望感を抱えている
- 集中力がない
- 自分を一方的に責める
また、身体的な部分では、食欲不振にひどい頭痛、動悸に嘔吐などの症状があります。
治療方法が病院によって異なりますが、薬の服用、認知行動療法などを取り入れるのが一般的です。
うつ病での休職は傷病手当金の支給対象
病院でうつ病と診断されたら、早い段階で休職や退職を選んだ方が良いでしょう。
しかし、借金を抱えた状態では今後の生活を考えると不安になって二の足を踏むのは当たり前のことです。
収入が無くなると返済もできなくなるので、なかなか休職や退職はできないという人もいるのではないでしょうか。
そこで覚えておきたいのが「傷病手当」で、うつ病で退職した際にも受給対象となる制度です。
傷病手当金の受給額
傷病手当金は就労できない1日につき現在の収入の3分の2の金額が支給されます。
そして最大1年6か月間支給されます。
たとえば、月収30万円の方であれば20万円がもらえる制度になります。また、最大1年6か月間の傷病手当の支給終了後もうつ病の診断がされていれば、障害基礎年金、障害厚生年金の受給も可能です。
仕事をしているときほどの収入を得ることはできませんが、ひとまず手当や年金をもらうことで借金の返済は可能になります。
傷病手当金の申請条件とは?
傷病手当金はうつ病で働けなくなった人にはとても有効な制度ですが、有効であるが故に誰でも申請すれば支給されるというものではありません。
支給には以下の条件をクリアしている必要があります。
- 社会保険の健康保険に加入している
- 私傷病により、(連続する3日間を含む)4日以上仕事に就くことができない
- 休んだ期間に給与の支払いがない
傷病手当金は労働者を対象としたものであるため、国民健康保険の加入者は支給対象ではありません。
そしてうつ病で会社を休んだ日から3日間は傷病手当金の支給対象外期間となるため注意が必要です。
傷病手当金の支給まで
傷病手当金が支給されるまでにはさまざまな段階が必要になります。
医師の診断による証明
傷病手当金の申請書の証明欄に、病院の医師に必要事項を記入してもらう必要があります。
病院で診察を受けたうえで記入してもらいましょう。
ただし診断によっては、支給の資格がないとみなされる場合があります。
傷病手当金の申請書類の提出
全国健康保険協会や(会社が健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合の)傷病手当金支給申請書に記入します。
※全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
生活保護を受ける
当面の生活費をまかなうためには、生活保護を利用することも考えられます。生活保護は、借金がある場合であっても、給付要件を満たせば受給することができますので、自治体の窓口に相談してみましょう。
債務整理をおこなう
支払い能力がなくて返済が困難な方は、任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理を検討してください。
任意整理
債権者と交渉することで借金の減額を交渉し、利息や毎月の支払いの負担を減らす方法が任意整理です。法的な手続きではないことから、所定の書式や添付資料などを用意する必要はありません。
任意整理は自分でもおこなうことはできます。しかし、債権者との交渉が必要になるので専門的な知識を持つ弁護士や認定司法書士(個別の債務額が140万円以下の場合のみ)に依頼する方がスムーズですし、良い結果に至る場合があります
個人再生
裁判所の法的な手続きを通すことで借金を減額する方法が個人再生です。
この後に解説する自己破産のように借金の支払い義務が全額なくなることはありません。しかし、借金を最大10分の1程度に減らすことは可能です。
ただし、継続的な収入が見込めることが個人再生の要件となっており、また、減額後の借金は約3~5年で返済を行うことが必要となります。
うつ病で仕事を辞める場合:自己破産
うつ病で仕事を辞める場合、自己破産を考えるのも選択肢の一つです。
自己破産は、裁判所により「借金の返済が不可能であること(支払不能)」が認められた場合に、税金や罰金などの一部を除く債務の支払い義務が免責されます。
しかし、借金がなくなることに対し、デメリットもあります。
- 一定の財産を保有する場合は処分が必要
- 免責後の一定期間はブラックリスト入りとなることからローンの契約が難しい
- 保険外交員や警備員などの一定の職業に就けない
今後、住宅ローンや教育ローンの利用予定がある方ですと、審査通過するのが厳しくなってしまうでしょう。
まとめ
借金苦でうつ病になった場合、今後の返済をどうすれば良いのかと悩んでしまい、悪循環に陥ることが考えられるでしょう。
そこで、手当や年金の受給だけでなく、債務整理などの方法を選ぶのも効果的なことを覚えておいてください。ただし、どの方法を選ぶのかは自己判断せず、弁護士や司法書士などの専門家にアドバイスや相談を受けて決めるのがおすすめです。
うつ病が理由で借金地獄にならないために、困ったときは専門家を頼ってみてください。