【体験者のプロフィール】
- 性別:男性
- 職業:社員
- 年齢:47歳
- 借金:1500万円
夢の飲食店経営へむけて
私は夢だった飲食店を開業し、経営に失敗して廃業しました。
その失敗体験を紹介しようと思います。
私は中学を卒業し、高校は商業高校だったため高校からファミリーレストランで働いていました。
そしてそこで働いているうちに自分でも何か商売をしたいなといった気持ちが芽生え、ファミリーレストランで調理の経験もあったため、高校を卒業してからは自分で飲食店を開こうと思いたち、勉強と貯金を始めました。
毎日飲食店で働きながら、開店へ向けた勉強と貯金に励んでいました。
物件をみつけて開業へ
そして4年間勉強し200万の貯金が出来たため、店舗にするための物件を探し始め、良い場所が見つかったので事業計画書を作って国金に融資の相談をしました。
200万円の貯金もあり500万円の融資を受けることができたので、早速物件を契約しました。
家賃は大きい物件だったので45万円でした。
夢の飲食店開業と順調な売り上げ
業者とも契約が出来たことで、ついに夢の飲食店開業になりました。
5年間の飲食店勤務もあったので開業には自信があり、初月は順調に売り上げも上がり、順風満帆に進んでいました。
このままいけば2号店もいけるのではないかというくらいの売上に、当初私は有頂天になっていました。
忍び寄る負債
その後半年間は順調でした。
借りていた借金は月に8万円返すのですが、月に15万円以上返し100万円ほど返すことが出来ました。
このままいけばあと2年もすればすべてプラスに転じると思い、機材を揃えて店舗内の機能を拡張し、さらに売上をあげる準備をしました。
しかしここから少しずつ歯車が狂っていきました。
300万の借入後の客足減少
だんだんと客足がおちていったのです。
機材を揃えた為、当初から更に追加で300万円の借り入れをしていました。
なぜ客足が落ちたのか全く分からないまま、どんどんと客足が減っていきました。
ランチの時間には満席に近い客入りだったのが、いつの間にか半分ほどの入りになった時、私は「最近お客の入りが少ないな」と思いつつもそう深刻には考えていませんでした。今日は雨だからだろうとか、今日はたまたまだとか、言い訳を考えてズルズルと何も対策をとっていませんでした。
機材投資のために300万円もの借金をした直後で、幸先不安な現状から目をそらしていたのです。
そしてとうとう家賃と食材費分しか払えないほど売り上げが落ちていきました。
借金をして自転車操業に
それでもアルバイトをしていたためなんとかなっており、ここで我慢して頑張れば、どこかで売り上げが上がるだろうと色々なところから借金をして食いつなぐ生活をしていました。
それでも売り上げは上がらず、いよいよ苦しくなってきました。
その頃なんと借金は1000万円を超えてしまい、日々返済と仕入・人件費と支払いに追われる生活になりました。
常連から見捨てられた日
そして店のかなめとも言える仕入も満足にできなくなってしまいました。
支払いが遅れると業者は品物を納品してくれません。
支払いが遅れた業者からどんどんと契約打ち切りになってしまい、仕入もままならなくなってしまいました。
こうなると売上を上げるどころか、店を維持することもできず、まさに負の連鎖でした。
仕入れが滞りがちになった店では、メニューを減らさざるを得なくなり、ただでさえ少ない客足は更に減少しました。ある時、常連だった人を見かけなくなったことに気づき「見捨てられてしまった」という気持ちが湧き上がって泣きたくなりました。
地獄の悪循環で閉店することに
何とか頑張っていたお店もとうとう閉店しなければならない状況になっていました。
スタッフも解雇し、一人でなんとかしようと思って続けていましたが、店を開けても客はこない。客が来ないから収入がない、なのに家賃や光熱費などの維持費は毎月支払わなければならない。業者から打ち切られて仕入れが厳しくなってメニューがない。だから客は余計に来ない…まさに地獄の悪循環でした。
そして何よりも、資材投資のために借り入れた300万円と、その後の店舗の維持のために借り入れた借金が、私の背中にのしかかっていたのです。
もう閉店・廃業しか道はありませんでした。
飲食店経営に失敗してしまう人の特徴
まだ廃業に踏み切れずに踏ん張っていたとき、ネットで"飲食店経営に失敗してしまう人の特徴"という記事を見ました。
その中でいくつか自分にあてはまる項目がありました。
- 決断・行動が遅い
- 自分の経験にこだわりすぎている
- 役割分担ができていない
- 根拠がないのにポジティブ
自分はダメな飲食店経営者だった
決断・行動が遅いというのは、閉店・廃業の決意や、経営不振の方向転換の行動ができていないことがあてはまり、飲食店アルバイトの経験にこだわりすぎた経営だったことがあてはまると思いました。
スタッフに任せるよりも自分でやった方が早いという思いから、スタッフとの役割分担ができていなかったし、もともと楽天的というか、考えなしのポジティブ思考だった私は、経営が傾き始めてからも「なんとかなるだろう」と思っていました。
まさに私自身が"飲食店経営に失敗してしまう人"だったのです。
今更の反省ですが、私はダメな飲食店経営者でした。
弁護士と相談し自己破産へ
私は返済もできず、業者への支払いも滞るようになって身動きができなくなり、閉店を決意しました。閉店するにもお金はかかります。
計算すると全部で1500万円以上の負債でした。ズルズルと決断しなかったことで、もはや自分一人では後始末すらできない状態になっていました。
このままではどうしようもないので弁護士に相談することにしました。
弁護士事務所を探し、相談の予約をとって訪問し、現状を包み隠さず説明しました。
そして色々と話をした結果、自己破産をすることにしました。
通常借金を解消するには「任意整理」という、“利息を免除してもらって元本を返す方法”と、すべての“借金を免除する”「自己破産」があると説明されました。
任意整理と自己破産の違い
任意整理は今後月々の支払いをしていける人は大丈夫ですが、月々の支払いもできないほど借金がある人は自己破産になるとのことでした。
どちらもブラックリストに載るし、向こう7年は借金ができなくなってしまうのですが、さらに自己破産者は代表取締役にもなれなくなると説明されました。
負債1500万円で自己破産に
私は、すでに1500万円の借金は実質払えない状況になっていたので、自己破産をすることになりました。
弁護士さんの話によると、自己破産は法律で出来ない人とできる人がいるとのことで、その基準は前述したとおり、借金を返すことができるかできないかだそうです。
無事自己破産申請も受理され、晴れて借金は免除になりました。
店が傾いた原因
経営が傾くことになった原因の一つは、うちの店舗から歩いて少しの住宅街の中に、うちの店舗と同じ系統の飲食店ができたことで客を取られたことでした。開店当時に雑誌で紹介されたことで、噂の行列店になっていました。
競合店の動向も気づかなかったボンクラさに、我ながら失望しました。
そして、これから起こりうる事態への備えも考えず有頂天になり、機材の拡張をしたことで、踏ん張るための資金を枯渇させていました。
足元を固めることなく、その時少し売上が少しよかっただけで先の投資のための貯金もせずに、考えなしに機材を購入してしまいました。
経営者に必要なのは堅実に、先の事を見据えた経営方針を考えること。それが当時の私には無かったことが、結果自己破産という結末を迎え、大切な店まで失うという事になってしまいました。
自己破産して店を失ったことを反省し、新しい人生を手に入れることができたとポジティブに考えて、また一からやり直したいと思っています。