政府の新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令以降、飲食店や各施設へ休業要請を発表した地方自治体が多数みられました。
こうした休業や営業時間短縮の影響を受けた飲食業などは、軒並み甚大な影響を受けており、このままでは倒産する店舗が多く出るであろうと思われます。
以前から飲食店の廃業率は高かった
そもそも新型コロナウイルス感染症の発生に関わらず、飲食業の廃業率は高い傾向にあります。
2019年1〜12月の飲食業の倒産は前年比7.9%増の799件で、バブル末期の1990年以降30年間では2011年の800件の次に多い件数となりました。(東京商工リサーチ)
中でも食堂やレストランが227件で、前年比の45.9%増となり、30年間では最多の数字となっています。こうした数字からも、新型コロナウイルス感染症の影響とは関係なく廃業率が高いことを伺うことが出来ます。
そもそも厳しい飲食店経営
飲食業の経営で大切になるものの1つにFL比率があります。
F | フード(食材原価) |
---|---|
L | レイバー(人件費) |
これらを売上の55%以下にしなければ、経営は傾くと言われています。
数字で見るだけであれば難しくはなさそうですが、実際は店舗の賃貸料・光熱費などがあり、客の入りは店舗の立地に大きく左右され、立地が良ければ大抵賃貸料も高くなります。
立地の良い場所に店舗を構えて客がにぎわったとしても、近隣に競合店舗が出来れば一気に客足が遠のき、経営も飛ぶ鳥を落とすかのように傾くのです。
そして大抵の場合は、そもそも潤沢な利益を得られるほどの客を引き込むことができていない場合が多くあるのです。こうした店舗はひと月の売上に大きく左右され、常に後ろから迫ってくる廃業の二文字を背にしながら営業をしている形になります。
一度耐えてもその次が耐えられない
新型コロナウイルス感染症の発生時、先程述べたような利益を伴う集客のできていなかった店舗は、真っ先に影響を受けました。その際に多くの店舗は耐えることができずに廃業に至り、現在は休業要請による影響の第二波が、なんとか第一波を耐えた店舗を直撃しています。
飲食店の経営者からは「いつまで耐えればいいのかわからないのが辛い」といった声が出ており、一ヶ月ならまだ耐えられるが、数か月となると無理かもしれないというのが現状です。
体力のない店舗から潰れていき、残った店舗も体力が削られたところから廃業していくため、今後どの程度もつのかどうかは休業要請やコロナの感染の拡大状況にかかっていると言えます。