介護ストレスで買い物依存症から引きこもりに|借金350万円を返済

目次

今までの反動で数万円の洋服を買った

数日後、葬儀場に支払いを無事に済ませました。借りたお金の残金は生活費にしようと思い、銀行に預金として預けました。
銀行からの帰り道、近所のデパートでセールの垂れ幕がゆらゆらしているのが目につきました。特に買いたいものはなかったのですが、ふらっと立ち寄ったのです。

そこでは、母の介護中には見ることもなかった素敵な洋服がセール価格で販売されていました。
何気なく洋服を見ていると、私の好みの洋服が半額で売っていました。半額といっても、今まで購入してきた洋服の数倍はします。
いつもは見るだけで購入など考えもしなかった私でしたが、この時は「さっき借りたお金の残金があるじゃない!今まで介護やら仕事やら頑張ってきたのだからたまには高級な服を一着ぐらい買っても良いんだよ?ご褒美だよ!」
こんな考えが頭をぐるぐると回り、私は迷いもなく銀行でついさっき預け入れしたお金を引き出して、その数万円する洋服を購入したのです。

支払い後、お気に入りの洋服が入った紙袋を手にした私はなんとも言えない高揚感に包まれていました。
「買い物はこんなに楽しいもんなんだ!!」
心からそう思いました。
その時には人様から借りたお金で購入したことに何の罪悪感もありませんでした。

新しい就職先と初給料

あの買い物からは、また以前のような質素な生活を送っていました。「欲しいもの」ではなく、「必要なもの」だけを購入していたのです。
そして、知人の紹介で新しい勤務先へ看護師として再就職しました。

そこは個人が経営している小さな病院で、以前働いていた病院より給料は数割安かったです。しかし、人間関係や休みの待遇などがよかったため、そこで働き始めました。
久しぶりの看護師としての仕事でしたが、優しい同僚の助けもありブランクはあまり気になりませんでした。
真面目に働き、仕事に専念していました。勉強も毎日行い、母の介護の体験を看護業務に活かせるように工夫したりしていました。

そして、働きはじめてからの初給料の日がやってきました。久しぶりに自分で稼いだお金です。
「大事にしよう。早く彼氏のお母さんに30万円返そう。分割にしてもらえば毎月の生活費には困ることなく返済できる」
本気でそう思っていました。その時は…

返済は後回しで冷蔵庫を買った

「これから毎月3万円、彼氏のお母さんに返済していこう。すぐに相談してこのお金を渡そう。」と思い、給料20万円ほどから3万円は別の封筒に入れていました。

そのままその足で返済に行けばよかったと後悔しています。彼氏の自宅は私のアパートから少し距離がありました。
また、まだ慣れない仕事で疲れもあり彼氏の母親への返済を後回しにしていたのです。

そんなある日、アパートの冷蔵庫が壊れました。
早速電気屋さんへ行き、手頃な冷蔵庫を見つけ購入することにしました。
しかし、自分の生活費からは捻出できず「そう言えば、3万円あったなー」と、返済のための封筒に入った3万円のことを思い出しました

その封筒の中の3万円で冷蔵庫を購入しました。
この30万円については、現在、分割払いで少額ずつ返済中です。

ノートパソコンを分割払いで購入

その頃私は安くて古いノートパソコンを使っていました。
その頃は私はどうしても他社のパソコンが欲しかったのですが、そのパソコンはとても高価なもので諦めていました。
そんなある日、友人と隣県に旅行中にそのパソコンが売っているお店に立ち寄り、現品を眺めていました。

そんな時に店員さんが声をかけてきました。
「今なら24回払い無金利で分割払いができますよ。」と言われました。
「分割払い」や「無金利」について知らない私は店員さんにとても詳しく説明してもらいました。
『ローン会社に申請して審査が通ったらその「24回払い無金利」でこんな高価なパソコンが私の手に入る!』と私としては夢のような話です。

すぐに書類に必要事項を記入し、店員さんに渡しました。すぐにローン会社より返事があり、審査は通ったので購入できるということでした。

分割払いできるクレジットカードに感動した

私には「分割払い」が魔法のように思えました。
そして、その分割払いがいつでもできる「クレジットカード」が魔法のカードに見えたのです。

それから私は色々調べて、今まで嫌悪感さえもあった「クレジットカード」というものを1社1枚作ってもらいました。
一応限度額は用心のために低く設定しています。一緒にETCカードも発行してもらいました。

クレジットカードの賢い使い方?

それから私は、何を買うにもクレジットカードを使用するようになりました。それとともに「買い物」に没頭していたのです。
本当に色々なものを買いあさりました。洋服や家具などを、カード分割払いで。

しかし、分割払いにしたおかげで次の月の支払いは少額で済みます。何か、高い物も安く買えたような錯覚に陥っていたと思います。
そのうちに初めて作ったクレジットカードの上限額に達してしまい、買い物ができない状態になってしまいました。悩んだ私は、賢いクレジットカードの使い方を考え出したのです。

それは…「たくさんクレジットカードを持っていたらもっと買い物ができる!」というものでした。
今思い返すと、本当に浅はかで馬鹿な考えだったと思います。しかし、その当時は本当に自分は賢い選択をしたと思っていたのです。

そしてすぐにあと2社のクレジットカードを作りました。そして狂ったように買い物をし続けたのです。
その時はまだ次の月にちゃんと支払いはできていたので、誰にも迷惑をかけずに自分の欲しいものが手に入っていたと思います。
しかし、ここから借金の額は加速して大きくなっていきます。

買い物依存症の買い物のしかた

その頃の私は、正真正銘の買い物依存症でした。
そんな私が一番利用したのがネット通販です。
毎日スマートホンで欲しいものを見つけては、ネット通販で「クレジットカード払い」のボタンを押して数秒で注文し、数日後には商品を自分の手に入れていました。

最初は商品が届くのを楽しみにしていたのですが、だんだんと欲しいものを注文することに快感を覚え、商品が届いてもダンボール箱を開けずに放置することが多くなっていきました。
しかも、最初の方は生活で必ず使用する洋服や雑貨、日用品などを購入していたのですが、そのうち、必ず必要としないけれども「欲しい」商品を購入することが多くなってきました。

衝動買いした一眼レフカメラと車

そのうちの例を二つ挙げると「一眼レフカメラ」と「新車の軽自動車」です。
「一眼レフカメラ」については、私はスマートホンで写真をとることさえも少ないのに「かっこいい」という理由だけで購入しました。
「このカメラで写真を趣味にしよう」と高額なカメラをクレジットカードの分割払いで購入したのです。
そして、カメラを使用するにあたり必要なSDカードなど付属品も一通り買い、レンズなども高額なものを手当たり次第購入しました。
私が奮発して購入した「一眼レフカメラ」はその後数回使用されるだけでした。三脚などはダンボール箱からも出していません。

そして「新車の軽自動車」についてです。
ある日、自宅でテレビを観ているとその軽自動車のCMが目にとまりました。
私はすぐに「これが欲しい!!」とディーラーに問い合わせ、次の日にはその車の購入手続きを行いました。

車のグレードも高くして、カーナビも最新のを装着したり車自体もカスタムしたりしたため軽自動車でしたが200万円ほどになっていました。
その新車を分割払いで購入するにあたり、クレジットカードの種類が私が持っているものではなかったため、4枚目のクレジットカードを作成しました。
カード発行の審査も問題なく、クレジットカードは発行されて頭金なしの分割払いで新車を購入したのです。
その前に買った車は4年ほどしか乗っておらず、車検も通したばかりでした。

買い物依存末期

その頃、私は長年交際している彼氏とアパートで同棲していました。
彼氏は新しいダンボールが届くたびに「また何か買ったの?」と怪訝そうな顔をしていましたが、私は「自分のお金だから関係ないでしょ」と激怒していました。その言葉に彼氏は何も言うことはありませんでした。
今思い返せば、彼氏の母親から30万円借りているのだから彼氏が文句言うのは当たり前です。

嘘をつく癖がついた

何も言わない彼氏が初めて激怒したのは、私が新車を納車し、アパートの駐車場に停めていた時です。彼氏は顔を真っ赤にしながら「何これ?この車どうした?まさか買ったのか?」と怒鳴っています。
日頃温和な彼氏が怒るのを初めて見た気がします。
私は「怒られたくない」と、とっさに「事故にあって相手の保険で新車になった」と嘘をつきました。
最初は「嘘だろ?」と疑っていた彼氏でしたが、私はなぜか嘘がスラスラと口から出てきて結局彼氏を説き伏せたのです。
その時から私は「嘘」をつく癖がついてきました。
これは今でも変わりません。

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