遺産相続と言えば、何かとプラスになるものが遺族に与えられるというイメージが強いのですが、実際にはマイナスな遺産まで相続される危険性もあります。
例を挙げるとすれば借金も相続の対象とされています。
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私自身、5年前に父親を亡くしているのですが、まさか借金をしているとは知らずに相続を承諾してしまい、借金を背負う羽目になってしまいました。
今回はその時の体験談について記していきたいと思います。
【体験者のプロフィール】
- 性別:男
- 職業:技術職
- 年齢:36歳
- 借金:200万円
なぜ父親の借金を破棄しなかったのか
結論から話しますが、私が父親の借金を相続した原因は単純に私の知識不足です。
父親の死因は不整脈による突然死だった為、前もって所有している資産について問いただした事は無かったですし、亡くなった後も確認しようとは思いませんでした。
遺産相続の手続きは以下の3つから選べるそうです。
- 破棄
- 限定承認
- 単純承認
私の中では、とりあえず父親の家や土地といった一部の財産が相続で貰えれば御の字かなという単純な考えでした。
また、仕事も忙しかったので、その当時は何もしなくても勝手に手続きが進む単純承認をするという形で遺産を相続する事になりました。
借金を相続してしまった事が発覚した経緯
手続きから2ヶ月程たった頃、私の元にある一本の電話がかかってきました。
電話の相手は銀行の人で、話を聞けば父親が亡くなる前に50万円の借金をしていたらしく、その相続を承認した私に借金の返済をしてもらいたいとの事でした。
かなり淡々と説明されたので頭で整理がつかず、その時は混乱状態でした。
その後も他の金融機関から電話や催促通知が私の元に寄せられ、父親は合計で200万円の借金を背負っていた事が発覚しました。
父親は早くに離婚していた為、遺産相続される最優先順位は私と1人の兄だったのですが、兄は遺族と話し合いをした際に相続を破棄した事が後にわかりました。
その事をなぜ知らせてくれなかったのかと憤りも感じましたが、結局は遺族との話し合いに参加していなかった私が悪いのかと自分を責めるしかありませんでした。
弁護士に相談してみたが相続は破棄できなかった
兄は相続を破棄していたので、私には父親の家や土地などが相続されていました。
その為、最初はそれを売却して借金を返却しようとも考えましたが、冷静に考えれば田舎にある土地や築年数が100年以上もある家が売れる訳ないと考え、弁護士に相談する事にしました。
しかし、結果は一度単純承認で相続してしまった遺産を破棄する事はできないとの事。
要するに父親の残した借金は私が払っていくしかないという事です。
任意整理も考えたが弁護士からはお勧めされなかった
父親が勝手に作った借金を全額負担するのは勘弁してほしいという思いで、弁護士に任意整理の相談を持ち掛けましたが、弁護士からはやめた方が良いと言われました。
その理由は返済能力を十分に持ち合わせていたからです。
私の年収は500万円ほどであり更には独身、貯金も300万円ほどありました。
200万円の借金であれば月々返済しても生活が困窮する訳ではありませんし、貯金を崩せば一括返済もできます。
任意整理というのは借金の返済が困難という状況にある人を救済する為の手続きだそうで、自分の判断で単純承認した上に「父親が勝手に作った借金を全額返済するのは嫌だ」というわがままで行うような手続きではないという旨の指摘を受けてしまいました。
その後、どのようにして借金を返済したのか
弁護士になんとか借金を減らす方法が無いか聞いてみたところ、もしかしたら過払い金請求ができるかもしれないとの事でした。
父親は各金融機関と契約を締結したのは2004年頃で、まだグレーゾーン金利が蔓延していた時代でした。
その為、過払い金が発生している可能性が推測され、私は「少しでも可能性があるなら」という事で弁護士に過払い金請求を依頼しました。
その結果、50万円の過払い金を取り戻す事に成功し、その額を全て借金返済に充てました。
残りの借金は返済していく他ないようでしたので、不本意ではありましたが貯金を崩して一括返済しました。
私のように、親に借金がある事を知らずに相続を単純承認してしまい、その借金を背負う羽目になってしまったという人は多いようです。
単純承認には特別な手続きが存在しませんが、一度行ってしまうともう取り消す事はできません。
その為、借金も相続の対象であるという事をしっかりと把握した上で遺族と話し合う事が大切なんだと、今回の件で気づかされました。