【実録】返済能力がなくて司法書士に断られた元公務員50代男性

【体験者のプロフィール】

  • 性別 : 男性
  • 職業 : 元公務員 現在フリーランス
  • 年齢 : 50代
  • 居住地: 大分県
  • 借金 : 約220万円
  • 対応方法 : 任意整理

早期退職後に専念し始めた株取引


 私は地味ながら安定した地方公務員での暮らしをしていましたが、訳あって2010年、退職勧奨に遭い49歳で早期退職しました。
退職は納得のいかないものでしたが、それまでやっていた株式取引を専業で取り組めて収入は遥かに良くなると勝手に思い込んでました。退職して公務員を見返してやろうなどと、変に気合が入ってもいたようです。
退職する前から取り組んでいた株式取引は損失ばかり出していましたが、それは本業と兼業だったのが大きな原因だとも思っていたのです。

不足額をカードキャッシングで補った

ところが実際には、本業が無くなったことで取引金額が増えて損失額もこれまで以上に増える結果になったのです。
信用取引で追証が発生し、貯金が無くなってからはカードキャッシングで不足額を補っていました。借金をしても、すぐに次の信用取引で取り返せるものと思い込んでいました。それでもさらに追証を出して利用限度額を超えれば、また別のカードでキャッシングをして補うということを繰り返しました。やる気と自信が能力を超えていることに気付かなかったのでしょう。

多重債務で返済が難しくなった

こうして毎月の返済額も大きくなり、月6~7万円となったところで遂に返済を継続できなくできなくなりそうになったのです。
退職から5年経った2015年5月、債務整理をすることにしました。その時の債務額は5社分合わせて約220万円に及んでいました。

身に染みる借金返済中の身分のつらさ

司法書士も難色を示した


 債務整理をするに当たり、まずは地元の司法書士事務所に出かけて相談してみましたが、決まった収入が親から毎月3万円をもらうだけで、他は自宅で不規則なライター業務で平均月3万円程度などでは、あっさり断られました。安定した自己収入があまりに少な過ぎるのです。

返済能力を司法書士に確かめられた

そこでネットで司法書士事務所をいろいろ探し、相談をしてみました。その中でとりあえず司法書士事務所へ約5万円の支払いを6か月続けられれば、債務整理に応じるという事務所と契約できました。このお金は事務所が保管し、その後、返済に当てられました。
和解は5社分合わせて手数料を含めた約230万円を、約6年で返済することで話をつけてもらいました。返済は毎月、司法書士事務所あてにまとめて振り込んでいましたが、途中から各債権者に直接、振り込みをしました。その際、振込手数料の負担を無くすため、振込先の銀行口座を開いたりもしました。

支払実績表は何度も眺めていた

送られてきた支払実績表にある程度、支払額がまとまった都度、支払実績を手書きで追加記入しては、「後、いくらで返済が終わる」と何度も確かめていたものです。

順調にはできなかった返済

 返済中でも株式取引は止められず、資金に少しでも余裕ができれば損失を取り返そうとして、損失を膨らまし続けていました。その結果、今度は別居の兄に支援を要請し、80万円の援助を受けました。それでも下手な株式取引は続けていたので、さらに苦しくなると、クレジットカードのショッピング支払いをリボ払いにして急場をしのいでいました。

やっと完済のゴールが見えてきた

それも2021年を迎える現在では、残り1社になって毎月12,000円を1年ちょっと振り込めば全て完了する段階までになりました。兄への80万円の返済はまだですが、年金の繰り上げ支給も数か月後には支給されますので、やっと落ち着いた生活ができそうで一安心してます。借金は兄からの80万円、親からの毎月3万円、自分のライター収入の毎月平均約3万円で賄ってきたことになります。

親に内緒のままでいたい

 本業は株のトレードのつもりでそれでも十分、収入になると変な自信はまだあり続けたのですが、これがただの思い込みで返済を苦しくさせた大きな原因になりました。
いくら失敗を重ねても反省したつもりが、また同じ失敗を繰り返す始末で、とにかく自信過剰な自分に呆れかえるばかりでした。
親が自宅にいたのですが、債務整理をしているなどは気付かれないようにしてきました。
兄も借金情報を漏らすような人物でなかったことには感謝してます。

隠し事の心苦しさとバレたくない気持ち

自分もあまり気にしないようにはしてきましたが、親に隠し事をしているのは心苦しいものです。2020年12月まで生活費としてもらっていた月3万円が、実は借金の返済に使われているとは知らないままだったのです。
これから返済が完了してからも、親にはいつまでも決してバレないようにしたいので、話をしても極力、経済の話にはならないようにしてます。この先、このような隠し事を持ち続けることになったのは、真摯に反省するしかありません。

まとめ

今、思えば身の程さえわきまえていれば、債務整理などとは無縁となることを認識させられました。それどころか、逆に今頃、困った人のところへ寄付も頻繁にできるくらいになっていたのではとさえ思えます。真面目に謙虚に日々をつつがなく過ごすことの重みが、そのまま債務整理の重さにすり替わってしまったようです。また、そのことは感じていながらも、自分に都合の良い甘い考えはなかなか抜け切られないものでもありました。こうしてみると平凡な生活をすることは、自分にはハードルの高いことだったようでもあります。まだ債務整理中の身分でもありますし、当り前の日常生活にもっと真面目に取り組みたいものです。

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