自己破産は、債務整理と呼ばれる手続きの一つで、借金の返済が困難となってしまった債務者が、その借金から逃れる為の最終手段となります。
一般的には自己破産手続きを行う事で借金が無くなると考えられており、基本的にはその考えで間違いはありません。
但し、自己破産をしても借金の返済義務が帳消しにならないケースも存在しており、債務者はその点に注意しなくてはなりません。
自己破産とはどういう手続きか
自己破産は、債務者が保有する財産を換価(現金化)して借金の返済を行い、それでも返済できない借金は裁判所を通じて、その借金の返済義務を免除してもらう手続きを言います。
この手続きにおいて、債務者が借金を返済する事は不能と裁判所が認めた場合、例え借金が少額であっても、借金の返済義務が無くなります。
この自己破産手続きのデメリットとして債務者は財産を失う事がよく挙げられますが、基本的に処分される財産は、時価20万円を超える財産及び99万円を超える現金(裁判所によってことなる場合がある)となっており、生活に欠かせない家具等の財産が処分される事はありません。
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自己破産しても借金が消えないケースとは
自己破産の最終目標は、借金の返済義務を失くす(免責)するという点にあり、これは裁判所から必ずしもでる決定という訳ではありません。
借金ができた事情や行為等によっては免責できないケースもあり、これを見定める為の一定基準を「免責不許可事由」と言います。
では、免責不許可事由にはどのようなものがあるのでしょうか。
1. 意図的に財産を隠蔽、減少する行為
自己破産によって財産が処分されるのを免れようと、意図的に財産を隠蔽する行為、不動産や車の名義を変えてしまう等の行為、簡単に説明すると、自己破産すると財産を失ってしまうから、その前に隠したり売ったりしてしまうような行為です。
但し、これは借金の借入先である金融機関(債権者)に迷惑が掛かってしまう行為だと分かったうえで行った場合に限ります。
2. 不利益な条件で債務を負担、または換金行為
不利益な条件とは、利息上限法及び出資法で定められた上限金利15~20%を超える借金を作ってしまった場合、つまり闇金で借金を作ってしまった場合です。
また、クレジットカードなどで商品を購入し、それを換金してしまうような行為も免責不許可事由に当たります。
3. 自己破産直前に返済してしまう行為
自己破産を弁護士に依頼し、その旨が債権者に通知された場合、借金の返済はストップします。
その状態で法的な義務のない返済を行う行為、例えば友人や親などに優先して返済を行う行為がこれに当たります。
但し、依頼後に口座から借金の返済額が引き下ろされてしまった場合や、親などが知らずに財布から借金の返済額を抜いてしまった等のケースは免責不可自由に当たりません。
4. 賭博や、その他射幸行為によってできた借金
要するに、パチンコや競馬などのギャンブルの借金、株やFXなどで失敗してできた借金がこれに当たります。
また、ホストやキャバクラ、自身の収入に見合わないブランド品などの購入といった浪費によってできた借金も同様、免責不許可事由に該当します。
5. 借金が返済できないと知りながら、嘘をついて借金を作る行為
通常、自己破産直前にお金を融資してもらう事はできませんが、どうしても借りたい理由があり、嘘の申告をして新しい借金を作った等の行為です。
法律上、自己破産の申立てがあった1年前の日から、破産手続き開始決定のあった日の間に以上の行為が認められた場合は免責不可自由に該当するとされています。
6. 過去7年以内に自己破産を行っている
過去に自己破産手続きによって免責許可の決定を受けている人は、免責許可が確定した7年以内に自己破産を行う事はできません。
これは小規模個人再生を除く、個人再生を行った場合も同様です。
免責不可事由に該当していたら借金は無くならない?
免責不可事由に該当していた場合は借金が無くならないという訳ではありません。
例えば、ギャンブルやホスト・キャバクラ通いなどで作ってしまった借金でも、債務者自身に反省の態度が見られる場合などは、裁判官から免責許可が下り、借金返済の義務が無くなります。
ほとんどのケースでは、裁判官の裁量、いわゆる「裁量免責」によって免責許可の決定が下されます。
勿論、免責不可事由によっては免責許可が認められない場合がありますが、そのケースは稀ですので、「自己破産しても借金の返済は無くならないかもしれない」と深く考える必要はありません。