昨今の新型コロナウイルス感染の拡大により「借金を返せなくなった」人が急増しています。
政府の緊急事態宣言の発令の影響もあいまって、リストラや倒産によって職自体を失ってしまった人や、アルバイト先の休業により休業期間中の給料が無くなったという人が増えたためです。
住宅ローンやリボ払いなど、その内容はさまざまですが、安定した収入がなくなったことで月々の返済が滞ってしまうケースが増加しつつあります。
借金返済を待ってもらうことはできる?
こうした場合、借金の返済を待ってもらうことはできるのでしょうか?
答えはNOです。
借入先が銀行の場合は、担当者との交渉次第で「リスケ(リスケジュールの略)」といった、返済条件の見直しなどをしてもらえることもあります。
しかし消費者金融の場合は、借金返済までの期日を伸ばしてもらう・待ってもらうなどのことはしてもらえないのが現状です。
返せない場合の「債務整理」
では現実問題として、返せなくなってしまった場合は一体どうしたらよいのでしょうか?
一般的な解決策としては債務整理のいずれかを選択することになります。
債務整理とは
債務整理とは借金の減額や返済期間に猶予を持たせること
債務整理期間中のメリットは以下になります。
- 督促が止まる
- 返済しなくて良くなる
後ほど紹介しますが、債務整理にはいくつかの種類があります。それぞれ方法によって手続き期間が異なりますが、最低でも3ヵ月は督促と返済の停止が期待できます。
債権者の督促は、主に電話や書面でなされます。執拗な督促は精神的に厳しいものであるため、督促を停止したうえで、落ち着いた生活を送りつつ債務整理をすることができるのです。
任意整理
任意整理は債権者と返済条件について交渉し、債務者が生活できる程度の条件にしてもらう和解契約をする手続きのことです。
和解契約とは、引き直し計算をして借金を減額したうえで、原則として金利を無くし、元本だけを分割返済(3年程)で返済するという内容になります。
締結後はこの和解内容通りに返済をすることになります。
任意整理のメリット
- 支払い督促が止まる
- 家族や周囲にバレにくい
- 将来利息が免除されるため、返済が楽になり、完済までの期間が短くなる
- 裁判所を通さない
- 手続きが比較的簡単
- 財産を維持できる
- 官報に掲載されない
- 職業制限がない
任意整理のデメリット
- 減額できない場合もある
- ブラックリストに登録される
ブラックリストとは
債務整理を行うと登録される事故情報のことで、掲載期間の間は新規の借り入れやローンを組むこと、カードを作ることができません。
掲載期間は任意整理の場合は5年、自己破産や個人再生をした場合は5年~10年です。これを過ぎると削除され、新たな借り入れなどができるようになります。
個人再生(民事再生)
裁判所を介して、住宅などの財産を失うことなく減額された借金を、原則3年(5年まで延長可)で分割返済するようにする手続きです。
債務が大幅に減額できます。(大抵は5分の1程度)自己破産ほどではありませんが、債務を大きく減額でき、且つ住宅などの財産を手放すこともありません。
個人再生のメリット
- 大幅に借金を減額できる(5分の1程度)
- 自己破産のように財産の処分はしなくても良い
- ギャンブルや浪費が原因(免責不許可事由)であっても債務整理できる
- 裁判所を通すので債権者が従いやすい
個人再生のデメリット
- 手続きが難しいため専門家の依頼が必要
- 官報に掲載される
- ブラックリストに登録される
- 条件が厳しい
自己破産
裁判所を介して全ての債務を免除してもらう手続きのことです。
自己破産のメリット
- 債務が免責される
- 取り立てや訴訟提起が停止する
- 給料などの差押えが停止・取消になる
自己破産のデメリット
- ブラックリストに10年間掲載される
- 生活必需品を除く全ての財産を処分しなければならない
- 官報に掲載される
- 職業制限がある
- 手続き中は自由に転居できない
- 手続き中の郵便物は破産管財人により調査される
- ギャンブルや浪費が原因(免責不許可事由)の場合、破産を市町村役場に通知される
職業の制限とは?
自己破産の手続き中は、一定の資格の利用が制限されます。これは資格制限と言われるもので、該当する職業の人は、自己破産を検討する場合注意が必要です。
特定調停
特定調停は引き直し計算により債務を減額する手続きです。任意整理同様、和解合意する債権者を選ぶことができます。
特定調停のメリット
- 職業制限がない
- 合意する債権者を選ぶことができる
特定調停のデメリット
- ブラックリストに登録される
- 強制力がない
- 過払い金請求ができない
- 債権者からの取立てが止まるまで時間がかかる
- 差し押さえなどが容易になる
- 調停員が債務整理の専門家でない場合がある
専門家と相談して「自分にあった債務整理」を選ぶ
債務整理は一言で言っても、先程紹介したとおりさまざまな手続きがあります。
そしてそれぞれにメリットとデメリットがあり、内容も多岐に渡ります。
自分ひとりで抱え込まず、まずは専門家に相談し、自分にあった手続きを取るのが大切です。