借金をした外国人が返済せずに帰国した場合はどうするべき?

近年、アジア諸国の発展などにより東南アジアなどの留学生の増加、働き方改革やTPPなどの影響を受け外国人労働者を受け入れる企業の増加などにより、日本に住む外国人が増えてきています。

日本に限らず海外での生活の基盤づくりには、お金が必要となる場合が多く、借金という形で助けてもらわなければならないこともある状況です。もし、そのような外国人がお金を借りたまま本国へ帰国した場合、どのように対処したらいいのでしょうか。多くの人が諦めてしまうようなケースですが、貸した高額であったり、返済を諦めたくない人もいるはず。

今回は、外国人の借金に関しての仕組みと帰国されてしまった場合の対応方法をご紹介していきます。

返済しないで帰国した外国人に対してできること

外国人でもカードローンなどを利用することが可能で、借金をしている外国人もいます。
収入が得られるすなわち働くことが可能なビザの需給を受けているなどの、一定の条件をクリアすれば、消費者金融カードローンなどではお金を借りることが可能です。

これは日本人・外国人問わず、借金をする場合には返済することが前提ですが、さまざまな事情で返済が難しい場合もあります。ただ外国人の場合には、借金の返済を終えないまま、本国へ帰国してしまい戻ってこないというようなことが考えられます。
このような場合にはどうすればいいのでしょうか。

保証人がいる場合は保証人に請求できる

本国へ帰国してしまった外国人が借金の契約を行った場合に、保証人連帯保証人を設定していた場合には、その保証人に請求が可能です。

この場合には、借金を完済できない債務者が外国へ帰国した外国人であっても、日本人であっても同様の手続きによって請求を求めることとなります。すなわち、本国へ帰国して請求できないことも日本人が返済を滞ってしまっていることも同じ扱いということです。債権者にとって保証人連帯保証人は、債務者の事情に関わらず、債務者に代わって返済をする人ということには変わらないからです。
このようなに保証人や連帯保証人がいる場合は、弁護士や司法書士などの借金問題に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

日本国内の資産を差し押さえる

借金を完済しないまま本国へ帰国した債務者の資産が日本国内にある場合は、裁判所へ申し立てることで、司法の権限において強制的に日本国内の資産を差し押さえることが可能です。

資産と借金の金額によりますが、全額の返済が難しい場合でも差し押さえることでいくらの現金を手に入れることが可能になります。弁護士や司法書士に相談すれば解決まで導いてくれるはず。
ここで日本国内にある資産と限定しているのは、日本の裁判所の権限は日本国内でしか有効ではないということがあるからです。

債務者の本国の資産を差し押さえる

もし本国に資産がある場合、債務者の本国の資産を差し押さえるためには下記の2通りの方法が想定されます。

  • 日本の裁判の確定判決を債務者の本国の裁判所で追認し、本国の裁判所権限での差し押さえをするための手続きをすること。
  • 債務者の本国の裁判所で、初めから資産を差し押さえるための裁判を行って確定判決を得ること。

外国人の借金に関しての仕組み

先ほど少し触れましたが、外国人であっても借金は可能です。

外国人であっても、お金や資金が必要なこともあります。きっちりとした返済能力があり、法律上問題ないことを証明できれば、日本人同様に借金は可能ということです。カードローンであれば、外国人であっても比較的利用しやすくなっています。
では具体的には、どのような流れで利用することができるのでしょうか。

外国人はカードローンを利用できる

カードローンには複数の種類があり、よく耳にするのは以下の二つです。

  1. 消費者金融のカードローン
  2. 銀行のカードローン

消費者金融のカードローンメリットは、無担保保証人なしでも利用できることです。しかし外国人が利用する場合には、日本人のように身分証明ができれば借金ができるということはありません。

  • 在留資格のビザが労働可能なものか
  • 在留期限がどの程度あるか

この2点がポイントとなります。

外国人が日本に在留する場合には、目的によってビザ発行されます。
留学のためのビザや観光目的のビザでは、労働収入を得ることができないため借金ができません。また在留期間が数か月の場合も返済期間を考慮すると借金が難しいといえます。
このような条件をクリアできれば、在留期間がわかるものを提示することでカードローンの利用が可能です。ただし、日本人であれば50万円以上の借金をする際に提示を求められる収入証明書が、外国人の場合金額に関わらず求められることもあるので注意が必要となります。

銀行のカードローンも利用可能

では、もうひとつの銀行のカードローンを利用する場合を見ていきます。
銀行のカードローンの場合、条件は永住権もしくは特別永住権の取得者であることとされているので、消費者金融のカードローンよりも利用できる対象者が少なくなります。

しかし銀行のカードローンでは消費者金融のカードローンよりも、借入上限金額が高く設定されています。また借りる側も相手が銀行であることから、借金時の不安が多少和らぐことも考えられます。

完済せずに帰国されてしまった場合の対応方法

外国人が完済せずに本国へ帰国しまった場合に、問題を抱える多くは個人間の借金の場合であると考えられます。これまでの説明内容より少し具体的にどのように行動すればいいのかなどご紹介します。

保証人や連帯保証人に返済を求める場合

本国へ帰国した本人に借金の返済を求めることが難しい場合、保証人連帯保証人に代わりに返済する義務が発生します。
しかし連帯保証人にはありませんが、保証人には催告の抗弁権検索の抗弁権があります。

催告の抗弁権

債権者から保証人に請求をされたときに債務者へ請求してくださいと抵抗できる権利

検索の抗弁権

債権者から保証人に請求をされたときに債務者の財産があるのでそこから請求してくださいと抵抗できる権利

債務者が本国へ帰国している状態では、催告の抗弁権は難しいですが、検索の抗弁権の適用を証明されると、債務者の資産の差し押さえをまずしなくてはならなくなります。

上記のどちらも適用できない場合は、保証人連帯保証人が代わりに返済する義務がありますが、この場合には一括返済することが求められます。あまり高額な借金であった場合など、保証人連帯保証人が返済できない場合は、全額の返済を受けられない可能性があるということの認識も必要です。

資産を差し押さえる方法

債務者の資産がある場合には、裁判所に申し立てる必要があります。

仮にこの申し立てを債務者本人に通知できない場合でも、公示送達という方法があります。債務者本人が欠席のまま裁判を行い、確定判決を得ることも可能です。このような手続きを経て、強制執行することができるようになります。

先ほども触れましたが、日本の裁判所に申し立て行い得た確定判決は、日本国内のみ有効なので、本国の資産は2通りの方法のどちらかで差し抑える必要があります。ただし、本国の資産額・言語の違い・債務者の本国での弁護士などのへの依頼・それらに係る費用を考慮すると難しい場合が多いのも事実です。

時効は成立するのか?

もし保証人連帯保証人もいない、資産が日本国内にもない場合には諦めなければならないのか。わずかな可能性でも求めるのであれば、住所に対して法的な債権回収手続きを行っておくことです。

借金には消滅時効があります。個人から借りた借金の場合の時効は、返済期日から5年となっています。債務者が海外にいた場合でも時効は進みますが、時効成立には条件があります。

  • 法的な債権回収手続きが一切行われていないこと
  • 時効の成立には債務者側からの申し出が必要なこと

この時効は、債権回収を一切行っていない時に適用されるルールであるので、手続きを行っておくと、時効は成立しません。
もし債務者が日本へ戻ってきた場合に、返済を求めることが可能な状態を作っておけば、諦めなくてもよくなります。

まとめ

今回は、借金を完済しないまま本国へ帰国してしまった外国人に対して、どのような方法で対抗できるのかということを見てきました。保証人や連帯保証人がいたり、自動車などの資産がある場合には、債権回収できる可能性はあるということになりますが、資産がない場合や帰国した本国にのみ資産がある場合などは手続きや費用面を考えると債権回収は難しいといえます。

ただこのようなことを知っておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
保証人や連帯保証人となる場合には、債務者が日本人の場合よりも慎重になることが必要です。もしこのような問題に直面した場合には、弁護士や司法書士など専門家に相談することが解決への近道となります。

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