近年は、SNSの普及により多くの人がつながりを持つようになりました。
しかしSNSを介した人間関係は、実際には関わりの少ない人であっても、情報を共有したりすることとなり、これまでの人間関係とは異なる複雑さがあるといえます。このような、人間関係と借金が結び付くなどと想像するのは通常難しいと思います。ただ我が家では、それをきっかけとして大きな問題となってしまいました。不安定な人間関係のストレスから、妻が買い物依存症による借金を抱えてしまったのです。
寂しさから買い物依存症になった妻
どのようにして買い物依存症による多額の借金を抱えることとなったのか、この経緯を説明します。
我が家は私と妻の二人暮らしです。
妻は専業主婦として、日々家事をしてくれていました。私の仕事は転勤が多く、1年半位で引越しということもよくありました。
そんな生活だったため、妻はパートが長期的にできず、友達ができてもすぐに離れてしまうことに孤独を感じていた様です。私も帰宅が遅く、妻のそんな気持ちに気づくことができませんでした。
買い物でストレス発散
ある日私が帰宅すると、洋服や靴の包や箱があり、これは何?と妻に尋ねました。すると「とてもかわいい服が半額だったの!」と、明るい顔で喜々としてその日の買い物が楽しかったことを話し始めました。こんなに楽しそうな顔を見るのは久しぶりだったため、私も深くは追及しませんでした。その後も気が付くと新しい袋や箱があることがありました。しかし妻はいつもと変わらず家事をしてくれており、会話もいつもと変わらないため、特におかしいとは思いませんでした。
カードの返済のために借金をした
後でわかることですが、妻はカードで支払いをしていました。妻は本人も気づかぬうちにクレジットカードによる買い物で買い物依存症になっていたようです。ただこれだけであれば、そこまで大きな問題にはなっていなかったのですが、クレジットカードの支払いのために借金をしてしまっていました。クレジットカードの支払いのために、借金をして返済に充てる。これ繰り返したことで、さらに継続して買い物が可能となる悪循環に。
そしてクレジットカードの支払いのためにした借金を返済するために、さらなる借金をすることにもなってしまう。このようにして複数からの借金をして、クレジットカードの支払いと借金返済を行う状態になりながらも、買い物は止まらず借金を重ねてしまいどうすることもできない状況となり、発覚したという経緯です。
なぜ私に相談なく借金をしたのか。本人曰く、とりあえずその場をどうにかしたかったと。隠したかったとのことでした。
司法書士に相談
最終的に督促状を隠し切れなくなった妻の告白によって借金があることが発覚しました。
まずはどのくらいの借金があるのかを確認して、返済を進めることに。
確認したところ複数から総額500万円近くの借金があり、返済が難しい状況でした。自分たちでどうにかできないかと考えましたが、これ以上のさらなる悪循環は避けなければという思いから、専門家である司法書士に相談することにしました。
返済方法に利用した任意整理
司法書士への相談費用は必要でしたが、借金を完済し、元の生活に戻るための投資的費用だと考え相談しました。借金の支払いについて、どのように進めていくことが最適なのか、今後どのようなメリットとデメリットがあるのかなどわからないことが多く、アドバイスしてもらえればという思いで司法書士事務所に伺い、相談したところ債務整理のひとつである任意整理することを提案されました。
借金の総額、収入状況、我が家の家計状況などを考慮すると、任意整理による完済を目指すことが最適であるということでした。
任意整理とは
司法書士に提案された、任意整理とは。
4つある債務整理の方法のひとつです。債務整理には、過払い金請求・任意整理・民事再生・自己破産の4種類があるとのことでした。
任意整理が選ばれる理由
その中でも、比較的利用されることが多いのが任意整理だとのことです。任意整理が選ばれる理由としては
- 裁判所を介した整理ではないので手続きが簡単
- 官報などに記載されない
債務整理していることが知られにくいことが、債務整理方法として選ばれやすいのだと思います。確かに私も人に知られるのは避けたいと思いました。
任意整理の流れと条件
任意整理の流れとしては司法書士が借金相手と今後の支払について交渉をしてくれて、任意整理後の毎月の返済額交渉、利息の帳消し交渉などもしてくれるとのことでした。
任意整理を選択する条件としては
- 安定した収入があること
- 借金を継続して返済する意思があること
- 任意整理後、3年で返済が可能なこと
これらの条件をクリアしていることが必要であると説明されました。
任意整理のメリットとデメリット
借金の返済に困ったときに利用されることの多い任意整理。司法書士に提案された任意整理について説明してきましたが、良いことが多いですがそればかりではないとわかりました。ここでは任意整理についてのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
- 手続きが簡単
- 周囲に知られることがない
- 財産など残すことができる
先ほども触れましたが、手続きが簡単なことは大きなメリットだと思いました。裁判所を介さずに、司法書士が交渉を行ってくれることがその理由でもあります。また司法書士が、個人情報や手続きに際して、周囲に債務整理中であることをバレないよう配慮してくれるので、とても安心でした。
また他の債務整理とは違い財産が残せることも、メリットだと感じました。
デメリット
- 債権者が交渉に応じない可能性もある
- 借金総額が多いと利用できない
- 交渉次第で任意整理後の支払い方法などが変化すること
司法書士が債権者と交渉をして借金の完済方法を新たに決める任意整理は、債権者に応じる義務はありません。しかし、借金の完済ができなくて債権を回収できなくなる可能性があるのであれば、任意整理に応じて回収するために応じてもらえることが多いのですが、確実に応じてもらえるというものではありません。
借金総額と多いと利用が難しい理由は、返済を基本的には3年で完了する必要があるのが任意整理です。すなわち36回での支払いで完済できる金額が毎月の支払額となります。収入と家計状況から支払い可能な金額が計算されますが、借金総額が多いと3年という期間の制限により難しくなる可能性があります。
交渉次第で条件が厳しくなってしまう場合というのは、借金後のすぐの任意整理や1回も返済をせずに任意整理を行う場合など、返済の意思が確認できない時が考えられます。
買い物依存症の対策
今回の任意整理を利用することとなったのは妻の借金が原因でした。しかしこれは現在のストレスが多い社会の中では誰もが陥る可能性のあることだと思います。この買い物依存症を改善するための方法を私の体験から紹介します。
すべての人に効果があるとは限りませんが、ある一定の効果が見込めるのではないかと思います。
買い物依存症に対する対処方法
今回の件で、ストレスによる不安定な精神状態が、買い物をすることによって解消されることで満足感を味わってしまう…これが買い物に依存してしまう要因となることがわかりました。テレビなどで知ってはいても、実際自分の身に起きて初めて現実的に理解したと感じました。精神不安→買い物によるストレス発散→借金。この繰り返しによって、過度に買い物をしてしまいお金が足りなくなり借金をするという悪循環に陥らないための対処方法が必要です。
それをいくつか紹介します。
- 家計簿をつける
- 貯金をする
- クレジットカードを持たない
- 日記をつける
- よく睡眠をとる
- 自律神経を整える
- 日常に必要なものの買い物をする
- インターネットショッピングはしない
上記にような方法が、我が家で実践した、実際に効果的な方法だと思います。家計簿や日記はお金や行動を記録することで、振り返ることや行動の把握が可能になります。また睡眠や自律神経を整えることは、精神的に安定な状態を保つために有効だと思います。過度な買い物を我慢することは良くないですが、インターネットなどの買い物欲を助長するようなものを目にすることは避けましょう。
そして意外なのが貯金することです。買い物ではなく貯金をすることへストレスのはけ口を向けることができれば、家計へも効果的でもあります。
買い物依存症の妻のケア
現在妻は専門のクリニックに通院中です。
そこで診察を受けた際に医者に言われたことは、ストレスによる影響や障害はさまざまなものがあるが、買い物によって満足感を得ることでストレスを発散する人もいるのだということでした。まさに妻がその状態だったという事です。このタイプの人間は、使えるお金の限界を超えてもストレス発散のために買い物を繰り返してしまうとのことでした。
買い物依存症への対策は、妻がする買い物は食料品だけにして、クレジットカードも手に届く所には置かないようにしました。これ以上の借金が膨らまないようにすることが先決だと考えたためです。またストレス発散を運動などの別の方法で解消できるようにして、問題が起こるきっかけにもアプローチする必要があると考えました。
ただこの買い物依存症の人間は、借金をしてしまい返済に困る状態に陥っても黙っており、どうしようもなくなった時点で判明することが多いのだと。我が家でもそうでした。家族にはバレないようにしていた妻も、主婦では支払いが難しい金額の借金を抱えて、どうすることもできなくなってしまったのです。
まとめ
今回は私の経験から債務整理のひとつの任意整理について紹介しました。任意整理を経験することになった経緯、借金の返済問題には専門家である司法書士に頼ることが効果的であること、司法書士に提案された任意整理について、任意整理のメリット・デメリット、買い物依存症の対処方法のどれもが経験から学んだことであります。
主婦がクレジットカードを使用して買い物する場合は、基本的には夫名義のクレジットカードであり、返済するための収入は夫の収入からとなることが多いのが現状。ですから妻の借金の問題は夫の問題でもあり、私が経験したことは起こりうることです。その時には、なるべく早く司法書士への相談をおすすめします。