コロナ自宅待機で突然の非正規解雇。自主退職に応じてはいけない理由

新型コロナウイルス感染拡大と、それに伴う景気悪化に伴い、最近になって雇用主から解雇や自主退職(自己都合退職)を求められるといったケースが増え始めています。
特にパートやアルバイト・契約社員や派遣社員といった、いわゆる非正規雇用の解雇が顕在化しつつあります。

アルバイトで生活費や奨学金を賄う大学生や、子供を抱えるシングルマザーなど、解雇されることによってたちまち生活が立ち行かなくなる人もあり、現在深刻な問題となっています。

一般的に正社員よりも立場が弱いことから、まず先に解雇や雇止めが行われる傾向にあるようです。

非正規社員が解雇・雇止めされやすい背景

ただし、そもそも非正規社員は、会社の人材を補填(ほてん)を目的とした期間を定めた雇用契約で雇用されるため、正規社員よりも解雇の有効性が認められやすいといった性質があります。

そのため契約期間が終了したとして、会社から退職を求められることがあるのです。

自宅待機後に「もう来なくていい」

現在新型肺炎の影響で、社内で一定期間の自宅待機や在宅ワークの通達後、解雇や契約更新がなされないといった報告が急増しています。

他の従業員と共に在宅ワークとなったにもかかわらず、期間後に呼び出されて「もう来なくていい」といったことをオブラートに包んで言われたという報告もあります。

はっきりと解雇について明言しないのは、暗に自分で辞めるように促して自主退職(自己都合退職)扱いとしたいためです。

非正規社員でも理由のない突然の解雇は不当

なぜ会社が自主退職扱いとしたいのか。それは非正規社員でも理由のない突然の解雇は不当解雇にあたるためです。
会社から促される場合は、基本会社都合退職とされるべきであり、本来自主退職(自己都合退職)とは自ら希望して退職する場合のものです。

自主退職と解雇は違う

そもそも自主退職(自己都合退職)と会社都合退職は、同じ退職でも違いがあります。

自己都合退職

労働者が自らの都合や意志で退職を申し出ること。退職の理由として挙げられるのは、精神や体調の不良により労働の継続が不能であったり、転職・結婚・妊娠・出産・転居・家庭の都合等が挙げられます。

ハローワークへ申請してからの失業給付金(失業手当)や、国民健康保険の納付については以下になります。

失業給付金最短支給開始日 3ヵ月7日後
失業給付金支給日数 90~150日
失業給付金最大支給額 約118万円
失業給付金給付制限 あり
国民健康保険税 通常納付

会社都合退職

労働者自らの意思に反して退職を余儀なくされた場合。
会社の経営破綻による倒産、人員整理(リストラ)、社内で不利益な事を受けた場合(社内のいじめ・ハラスメントなど)

失業給付金最短支給開始日 7日後
失業給付金支給日数 90~330日
失業給付金最大支給額 約260万円
失業給付金給付制限 なし
国民健康保険税 最長2年間軽減

懲戒処分のような問題を起こし、免職や解雇となった場合は自己都合退職となります。

「自主退職」に応じてはいけない

会社都合退職と自己都合退職とでは、退職後の失業給付金の支給を受けるまでの期間やその額、国民健康保険の納税に関して違いがあるため、慎重になる必要があります。

特に失業給付金が支給されるまで、自己都合退職の場合は3ヵ月と7日かかるのに対し、会社都合の場合は7日となり、退職後の生活に大きく明暗を分けることになります。

自らの意思での退職ではない場合、会社から自己都合退職を促されても応じてはいけません。もし会社の業績悪化の人員整理で、解雇も仕方ないと納得した上の合意ある退職の場合は、自己都合退職ではなく会社都合退職となるようにしましょう。

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