【体験者のプロフィール】
- 性別 : 男
- 職業 : 学習塾講師
- 年齢 : 50代
- 借金 : 合計500万ほど
- 対応方法 : 任意整理
一人暮らしの破綻
大学時代、アルバイトに夢中で大学はほとんど行ってなかった。収入も良く、食費なども月に10万近く使っていた。そのうちあまり深く考えずアルバイトを退職。
貯金もなく、生活費を稼がなければならないのですぐに毎月の生活費に困ることになった。
さらには、アルバイト時代の贅沢が抜けきらず、小金が入ると外食や遊興費に使っていた。
結局10社ほどから借り入れをした。少ないところは10万、多いところは30万。すぐに支払いに追われるようになり、取立人が部屋を訪ねてくるようになった。催促の電話や訪問に、できるだけ居留守を使うようになり、精神的に追い込まれていった。
そんな暮らしが一年続き、躁鬱状態になっていた。知人にも借金を平気で申し出るような人間になっていた。家賃も払えなくなった。大家さんが親元に連絡をして、情けないことに父母、さらには伯父にも金銭援助を受けて、借金も家賃も清算して帰郷した。
二度目の借金
帰郷して地元で再就職した。30になっていた。給料からなんとか返済していたが、やがて親や伯父への支払いが厳しくなり、同時に勤めていた会社での人間関係の悪化から、転職したいと思うようになった。
気づけば自動契約機の前にいた。30万を借りて、そのお金で伯父さんに借りていた分を完済した。
今回は額がそこまで大きくないし、今は実家に住んでいる。そんな甘い考えのまま、さらなる借金を重ねるのは時間の問題だった。サラ金業者から、借金枠の増額を、と勧められるまま200万にまで借入額が増えていた。金利に対する感覚がゆるすぎた。
200万近いお金も、いつの間にか半分近くになっていた。
過払い金返金手続きと任意整理
200万の借金は毎月金利だけでも数万になり、元金が減らないのがどんどん重くのしかかって来た。
そんな時世間では金利に関する法律が変わり、過払い金請求するといいという話が出始めた。最初は、正直そんなうまい話があるはずがないと、何もしなかった。これが大きな後悔を生むのだが。
時効で過払い金請求できなくて後悔
そのうち返済がきつ過ぎる為、司法書士事務所に依頼することにした。
そこで以前借りていた10社分について調べてもらった。すると、2社を除いて全て時効を迎えていたことがわかった。残りの2社は、手数料などをのぞくと20万近い金が戻ってきたが、得した気にはなれなかった。
もっと早く過払い金請求をしておくべきだった。そうすれば後で述べる、四国に帰ってからしていた借金を任意整理して棒引きした分も、取り返した過払い金で十分払えたのに。きれいに借金をめでたく40を迎えたときに無くすことができたのに。
難航した任意整理
過払い金返還要求の威力を十分理解した私は、四国に帰ってからの借金も任意整理するために司法書士に依頼した。着手から三か月ぐらいして連絡があり、75万に減らせることになった。
最初は残債を分割払いにならないか交渉して欲しいと司法書士に頼んだ。もう一軒、実は借入先があって、そちらは月々の分割払いに応じてもらえたからだ。
債権を下請けに譲渡していた業者
だが、ここで問題が起きた。大きいほうの借入先は、もともと大手のローン会社だったのだが、過払い金請求が激増するにつれて、債権を下請けの会社に譲渡していた。そして、面倒な債権を下請けに売り払い、過払い金の支払いも整理していた。
あの頃、たいていの大手のサラ金会社が、大手都市銀行などの傘下に入った。その裏で、一部の債権は下請けの、平たく言うとガラの悪い業者に押し付けていったのだ。
司法書士の先生は一生懸命交渉してくれたが、相手は一括返済以外絶対に認めないと譲らない。
やりとりを当時三か月おきぐらいに繰り返していた。本当は、もうそこで、手をうつべきだった。
債権の譲渡は、もう一度あったと思う。後になるほど、相手はさらにガラの悪い業者になっていくのが、司法書士さんの交渉経過報告から感じられた。
分割払いを認めない
普通なら借金返済を止めているわけだから、催促の電話はないはずだ。しかしその業者から直接私に一括返済しなければ、訴訟を起こすという手紙が来た。
本当は代理人を介さずに、そういうことをするのは違反だ。
相手としたら、一括返済されれば早く処理ができて、当面回せる金が確保できる。待ったら待ったで、金利分がもうかる。とにかく分割払いだけは絶対に認めない。任意整理では、相手の同意がなければ、分割も、過払い金返金も成立しない。
最終整理
結局、任意整理の手続きを始めてから4年がたっていた。ついに、これ以上長引かせると、返済意思のない債務者の味方をしたということで、相手は司法書士自身を訴えると脅してきた。こうなると、もう応じざるを得なかった。総額は結局140万ほどにまで増えていた。もう、どうにもならない。共済を解約して支払った。
大きな喪失感が残った。本当は借金が無くなるはずだったのに。なぜ、もっと早くこうすることができなかったのか。
今振り返って
借金のことは、家族には話さなかった。話したくなかったし、話せなかった。だから無駄に苦しんだ面もある。
後悔したことは、本当に過払い金請求を一日も早くやっておくべきだった。金利のついた借金は本当に、人生を痛めつける。過払い金請求には時効がある。早目に司法書士に相談して、過払い金請求をするべきだと思う。