人気お笑い芸人チュートリアルの徳井義実さんが、個人で設立した会社チューリップの申告や納税を行っておらず、東京国税局から申告漏れおよび所得隠しをしたとして指摘されていたことで世間を驚かせました。
徳井さんは、申告を済ませて追徴税額3700万円をすでに納めたとのことですが、どういった経緯で所得隠しをしてしまったのか、申告漏れの経緯と内容について見てきましょう。
所得隠しの経緯
2019年10月23日、人気お笑い芸人が脱税疑惑?!というニュースが飛び込んできました。
内容は、複数のレギュラー番組を持ち、NHKの大河ドラマにも出演が決まっていたお笑い芸人であるチュートリアル徳井さんが、東京国税庁からの税金の申告漏れがあったこと、未納付分の税金があるということで、1億円を超える追加徴税額の指摘を受けていたというものでした。
追加徴税についてはすでに2018円12月に納付済みであるということです。
まずは、徳井さんが設立した株式会社チューリップの法人税についてです。
徳井さんが所属する吉本興業からの発表によりますと、徳井さんは2009年に個人事務所である株式会社チューリップを設立しました。会社を設立すると、毎年決まった時に決算を行い、法人税を申告して納めることになります。
ところが株式会社チューリップの決算期は3月と決まっていましたが、設立の翌年からすでに申告を行っていませんでした。
そこから二回税務署から指摘を受けることになります。
- 2010年3月期から2012年3月で無申告 指摘をうけ2012年6月に申告をする
- 2013年3月から2015年3月まで無申告 指摘をうけ2015年7月に申告をする
銀行預金差し止めと国税局の調査
税務署からの指摘を受けてからの形ではありますが、遅れはしても申告には行っていました。
しかし、実際に税金を納めることはせず、税務署から再三督促が来る状態が続きます。その後も税金を納めること様子が見られなったため、2016年5月に銀行預金が差し止められる事態となりました。
税金の無申告や税金未納の状態が続いたため、2018年9月に株式会社チューリップに国税庁の調査が入ります。
この時の国税庁の調査内容は、次のようなものでした。
- 国税庁は、2016年3月から2018年3月までの3年分の法人税が無申告であったため、株式会社チューリップに対して申告をするように指示
- 2012年から2015年の4年間の間に行った税務申告の一部の内容について、修正申告するよう徳井氏に通達
修正申告の内容については、洋服代やアクセサリーの一部や、経費として計上していた旅費などが、一部経費として認められず修正申告書を出すことになったと言われています。
こうした指摘を受け、株式会社チューリップは2016年3月から2018年3月までの申告手続き及び2012年から2015年の修正申告を行いました。これまでの無申告にかかる無申告加算税510万円や修正申告の重加算税180万円を含めた法人税追加徴税額は3700万円に上りました。
消費税と所得税の納付もしていなかった
以上の内容は法人税の話ですが、徳井氏は消費税および所得税の申告や納付も行っていなかったため、税務調査で指摘を受けます。
2018年に税務調査をされた際、消費税や所得税の無申告や申告漏れについても指摘されました。
無申告や申告漏れの期間については7年間にさかのぼり、消費税については2100万円、源泉所得税については不納付加算税と併せて4400万円を追徴となり、消費税と所得税の合計6500万円が追徴課税となったということです。
2018年分については、期限内に申告済みだということです。
株式会社チューリップの法人税、消費税および所得税を合算し追徴課税額は1億円以上になりました。
申告漏れの期間7年間で申告漏れ1億2000円万円
徳井さんのケースでは、消費税と所得税の無申告や申告漏れの対象期間が7年となっていますが、今回この期間が注目となっています。
通常税務調査の対象期間は、平成23年の12月に国税通達法の改正で、法人税、消費税および所得税共に、2019年現在原則5年となっています。ですが、無申告や不正行為があったと認められる場合、原則7年までさかのぼることがあると言われています。
徳井さんのケースでは、遡り期間が7年となっており、度重なる無申告や未納付があったため悪質であるとみなされました。このことから7年前までさかのぼって税務調査が行われることになったと推測されます。
東京国税局の税務調査で指摘された申告漏れや所得隠しの金額は、1億2千万円にのぼると指摘されました。
東京国税局は申告漏れと所得隠しと判定
徳井氏のケースでは、東京国税局の調査で7年間にわたる申告漏れや所得隠しと指摘されましたが、こうした行為は脱税ではないかと世間で騒がれています。
チュートリアル徳井さんは脱税なのか所得隠しなのか
では所得隠しと脱税はどう違うのでしょうか。
脱税は、所得隠しのうち、故意に税金の納付を逃れる悪質行為であると判断され、国税局が検察庁に告発し裁判所に送られて初めて脱税事件として認められることになります。
脱税となると、刑事罰を受ける容疑者という扱いになりますが、徳井氏の場合、検察庁から告発があったと言う動きはなく、各報道機関では脱税という報道は行っておらず、あくまでの所得隠しや申告漏れとして報道されています。
長期元マルサ業務の浅地氏は脱税では無いというが?
当初インターネットやSNSなどでは「株式会社チューリップが脱税」「チュートリアル徳井氏は脱税したのでは」と情報が錯綜していました。
元マルサ(東京国税局査察部)に13年勤務し、現在は税理士として活躍されている浅地文雄氏が今回の徳井氏のケースでは「現時点では脱税行為には当たらない」と認識していると報道されました。
浅井氏の意見によると、通常社会的地位のある方の法人で3年も税金を納めていない状態で、放置されていたことに驚いているとのことですが、今回のケースでは、税額で1億円を超えていないということ、現在の段階で、マルサ(国税庁査察部)の方で動きが無いということから脱税行為とはみなされず、義務違反という内容になったのではないかと述べられています。
国税局は脱税とは判断しなかった
実際国税局の調査では、脱税行為とは見られませんでした。
徳井氏の場合、脱税とはみなされませんでしたが、会社設立当初から長期間申告や納付を行っていなかったことや、度重なる税務署から納付の催促にも応じなかったことから、重加算税がかけられています。
重加算税とは?
重加算税とは、帳簿の改ざんなど何らかの隠ぺい工作が見られた場合に課せられる税金で、国税通則法に基づく行政処分です。
複数年に渡る申告漏れや未納付については、脱税行為とも取られかねないですが、脱税とみられる場合は共犯者がいたり、浅池氏の話の通り脱税額が1億円を超える場合などに当てはまります。今回は1億を超えていないことから、脱税行為とはみなされなかったようです。
徳井さんはADHDなのではないか?という説も
徳井氏は税金だけでなく、健康保険料や年金などの社会保険料も未納であったという発表もありました
結果的に所得隠しとなってしまった原因の一つには、度重なる無申告や未納付の状態だった理由について、納付しようと思っているうちに月日が経ってしまったということを挙げています。
周辺の関係者や徳井氏本人のツイート証言によりますと、普段からいろいろなことにルーズで、水道やガス、電気など料金を支払わず生活インフラが止まるということを繰り返しており、周囲から驚かれていました。しなければいけないと思いつつ、大事なことでも後回しにする性格であったことがわかります。
こうしたことや今回の所得隠しのことから、SNSなどで「ひょっとして徳井氏は注意欠陥障害(以下ADHD)ではないか?」という噂が続出しました。
徳井氏のどういった行動がADHDと呼ばれるのか、見ていきましょう。
今回徳井氏は、再三の税務署からの指摘を受け、担当されていた税理士の方からも早く申告や納付を行うように言われていました。それにも関わらず何度も税金の無申告や未納付を返しています。
また徳井さんは、よくTwitterでガス代や水道代を滞納したために、自宅のガスや水道を止められたということをつぶやいていました。通常ガスは50日、水道は最短で2カ月の滞納で止められるということなので、その間全くなにもせずに督促を無視し続けたことになります。
これらの件によって、ADHDの特徴ではないかと言われたのが以下です。
やらなければいけないこと、大切なことでも期日ギリギリまで先延ばしにしてしまう。または期日を過ぎてしまう。
確かに再三の催促があるにもかかわらず、税金の無申告や未納付、ライフラインの滞納を繰り返すのはこれに当てはまりそうです。
また、他にも徳井さんがADHDなのではないかと言われたことが以下になります。
毎回小銭をうまく使えず紙幣で支払うため、小銭が机の引き出しがパンパンになるまで貯まる
これはADHDの人が数字を苦手にする傾向があることが多いことに起因するようです。
徳井氏は、申告や支払いの前にやりたい事があると関心がそちらへ移ってしまい、大事なことが後回しになってしまう可能性があるのではないかという説があります。
もしそうであるならば、自分で改善すること大変難しいので、専門的な知識を持っている方に、全面的にお願いするのが最良の策といえるでしょう。
完全に治すということは難しいかもしれませんが、専門家のアドバイスによって対処する方法を身につけて、うまく自分の性格とつきあっていく方法はあるようです。
ただし徳井さんは専門家の診断を受けているわけではないので、あくまでもADHDかもしれないというのは噂でしかありません。
レギュラー番組・NHK大河ドラマの降板、活動休止
今回の所得隠しと申告漏れの報道を受けて、レギュラー番組の降板やNHKの大河ドラマは出演部分カットされ、2、3社ともいわれるCM出演も降板することが発表されました。
期限については言及されませんでしたが、今後徳井さんは活動自粛するとのことです。
今後番組降板などによる違約金や賠償金は数億円になるとも言われており、
支払わなければならなかった税金の未納・所得隠しによる代償は大きなものとなりました。
通常芸能人の不祥事などによる違約金は、一旦所属事務所が代わりに支払ったのちに、当人から返済を受けるということが多いそうですが、徳井さんの場合は個人事務所を設立してしまったことが裏目になりそうです。
マスコミの取材に対して吉本興業は「あくまでも徳井の個人事務所の問題である」と答えました。
今後いばらの道であることは確かですが、ファンも多く人気お笑い芸人だった徳井氏の今後の動向が気になります。