ソシャゲについて語る前に、僕のプロフィールを見てください。
【体験者のプロフィール】
- 性別:男性
- 職業:営業(不動産)
- 月収:手取り22~25万円
- 年齢:31歳
- 借金:500万円
なぜ、借金を背負ったのか
今回は、500万円の借金を背負った僕の体験を書いていこうと思うのですが、その前に、みなさんに質問があります。
みなさんは、【課金兵】という言葉を聞いたことはありますか?
ソシャゲ(ソーシャルネットワークサービス)のゲームで、課金をしている人のことを言います。兵士のように黙々と課金をすることから、課金兵と名付けられています。その課金兵でも、月に数十万課金している人のこと【廃課金兵】と呼ぶのですが、僕がまさに、廃課金をしている課金兵だったのです。
職業は不動産の営業です。賃貸契約をメイン業務にしている不動産会社なので、2月から4月は怒涛のように忙しくしています。休みは水曜日と日曜日という、不動産にありがちな休みです。給料を見てもらえればわかりますが、僕は月に数十万課金できるような大金持ちではなかったです。
ですが、僕はソシャゲに毎月50万円程度課金していました。給料よりも多い金額を毎月課金していれば、借金が増える。そんなことは、小学生でもわかりそうなものですが…、昔の僕は、そんな単純な引き算ができないほどソシャゲにハマってしまっていたのです。
僕がハマっていたアイドルマスター
僕がプレイしていたのは、アイドルマスターシリーズのアプリでした。元々アイドルマスターというコンテンツは知っていたものの、そこまでのめり込むほど好きでもなかったんです。当時はAKBなどもテレビで話題になっていましたが、そもそもアイドルがそこまで好きではなかった。
アイドルやスポ根漫画よりも、トリックが複雑で最後にどんでん返しがあるような、そんな漫画やアニメが好きだった。なのに、僕がアイドルマスターにハマってしまうのは、ちょっとしたきっかけがあったのです。
僕がハマったのはアイドルマスターではなく、【アイドルマスターシンデレラガールズ】というアプリです。あまりソシャゲやアニメに詳しくない人は同じだろ、と思うかもしれませんが、デレマス(シンデレラガールズの略)と元のアイマスとは事務所が違い、イラストも少し違います。細かい部分ですが、わかりやすく言うと、デレマスの方がエロかった。
デレマスの方がエロかった。
大事なことなので二度言いましたが、つまりそういうことです。アイマスにももちろんセクシーな衣装はありますが、デレマスははっきりと性を感じることができて、カードのイラストをずっと見ていられるほど美麗なイラストがあったのです。
Twitterで友人がリツイートした、【高垣楓(たかがきかえで)】というキャラクターを見て、僕はすぐに虜になってしまったのです。男の理想であるふんわりミディアムヘアの髪型、25歳という少し年齢の高いアイドル、そして泣きボクロ、そして巨乳だった。そんな楓さんが衣服をはだけさせて、生足を晒しながらこちらを見ている。
そんなイラストに、僕は虜になってしまったのです!
課金兵までの道のり
ソシャゲは基本無料でプレイができ、課金すればよりよいカードがもらえるというシステムなのですが、デレステの場合は課金が基本という感じでした。
欲しいカードはガチャを回さないと手に入らないし、そのガチャが当たるかはランダム。
また、定期的に行われるイベントで上位にランクインしないとゲットできないカードもある。無課金では、十分に遊ぶことができないゲームだったのです。
僕がハマったときには、楓さんはすでに人気キャラクターだったため、いいカードとして出てくることも多かったのですが、その分ガチャや上位ランキング報酬になることも多かった。すべてのカードを手に入れるには、課金は必須だった。
僕は、ゲームを初めたときにもらったモバコインを使ってガチャを回しました。その時はまだ、課金するつもりもなく、楓さんが出ればいいな、というそれだけの気持ちでガチャを回したのです。
すると、運命だったのか、楓さんが来てくれたのです!
これから課金を幾度となくしますが、これは本当に、奇跡に近いですし、運命だったと僕は思っています!それくらい、ガチャで楓さんが来てくれることは本当に少ない確率なのです。
ゲームを始めたばかりにビギナーズラックで人気キャラである楓さんのカードを手に入れた僕は、とうとう課金への道へ足を踏み入れてしまうのです。
自慢したら称賛された
今まで興味のなかったデレマスで、初めて回したガチャで人気キャラクターの【高垣楓】を手に入れることが出来た僕は、そのままTwitterに報告しました。「楓さん出た、可愛い!」というような内容で、スクリーンショットを載せてツイートしたのです。
すると、全く知らない人からも拡散され、すごい、うらやましい、というリプがいくつも飛んできたのです!
もちろん、バズる、というほどの拡散ではなかったものの、それでも拡散やリプになれていない僕は、自分は特別なんだ、となぜか勘違いをしてしまったのです。
アイマスをアーケード時代から行っているという古参の人からフォローされ、「それは運命だ、推せ」というようなことを言われて、僕はこのキャラクターに選ばれた特別な存在だと妄信していました。
そして初めての課金へ
ランキング上位に入るために必要なのは「1~2万円程度の課金」「時間」でした。
とにかく回復をしてポチポチするだけ。
単純ですが、難しい操作や考えることが少ないので、初心者でも簡単に上位ランキングに入り込めるのがありがたかったです。
そして、僕はとうとう上位ランクをゲットして、楓さんのカードを手に入れることが出来たのです。
そしてツイートするとまた称賛された
僕はランキングボーナスで手に入れた楓さんのカードを、Twitterに乗せました。「ゲットできた、可愛い、頑張ってよかった、アドバイスくれた人ありがとう」という内容でしたが、それも拡散されました。そして、多くの人からいいねをもらい、僕は浮かれていました。
それから、僕の生活は変わりました。
スマホを離さない。仕事の休憩中や、お昼などはずっとスマホをタップ。家に帰ってもずっとタップしていました。僕は実家暮らしだったので、親と一緒に食事を取るときだけはスマホをいじれませんでしたが、自室に戻ったらずっとスマホを操作していました。
朝は9時出勤なので、いつもは1時には寝ていたのに、ソシャゲを始めてからは、朝4時頃までソシャゲをしていることがザラになってしまったのです。
初めての爆死
ソシャゲをやっている人は【爆死】という言葉を聞いたことがあるかもしれません。欲しいカードがあったとき、大量に課金したにもかかわらず、手に入れることが出来ない状況のことです。
僕の場合、ビギナーズラックや初回イベントで上位ランクに入れたことが脳に焼き付いていたので、初めての爆死は他の人よりも大きな金額だったのかもしれません。
楓さんの夏の浴衣のカードがガチャで出たのです。花火を背景に、こちらを見上げる楓さん。色っぽく、そして指先まで美しい楓さん…。
このカードが欲しい、僕はそう思って課金をしようと決意しました。
ここで、ひとつ問題が起きました。
携帯払いの上限に達してしまい、課金が出来なかったのです。僕は驚いて、他に課金する方法がないか操作すると、ソシャゲにクレジットカードの情報を入力すれば、クレジットカード払いで課金することが出来ることを知りました。
なるほど、と僕はすぐにクレジットカードを登録しました。
携帯払いの上限は5万円、クレジットカードは100万円使うことが出来る。毎月数万円なら、余裕で返していける。僕はそう思って、課金を開始しました。
しかし、10万円まで課金しても、楓さんは出なかったのです。
Twitterでは楓さんが出たというツイートばかりで、僕は焦っていました。
そしてさらに10万円課金して、僕はとうとう楓さんを手に入れることが出来たのです。
約1年で借金が200万円に到達
楓さんは人気キャラクターだったので、イベントやガチャに抜擢される回数も多く、僕はどんどん借金を繰り返していました。
それに加え、過去のカードを購入していましたし、デレマスへの出費が増えていって、クレジットカードが使用出来なくなるのも早かったです。
具体的な金額が覚えていませんが、月に10万円は使っていました。
多い時は30万円をソシャゲに注ぎ込んでいたのです。
クレジットカードが使えなくなり、そこでソシャゲを止めていればいいものの、僕はそのまま新たにクレジットカードを作ってしまいました。
クレジットカードで使った金額はすべてリボ払いにしていて、このときは毎月5万円の返済をしていました。結局は払いきれなくなってしまい、クレジットカードで弁当を買ったり、飲み会代を支払ったりしていました。
それが普通だとも思っていたのです。
クレジットカードを使うこと、借金を使うことに慣れてしまっていたので、借金が膨らんでいくのもあまり気にならなくなっていました。
正社員で働いているし、ボーナスを使えばすぐ返せる、と。
僕の借金は200万円に到達していました。
課金が出来なくなる苦しみ
クレジットカードの支払いはリボ払いにしていたので、月5万円でした。2つめのクレジットカードを満額まで使った後は、毎月8万円ずつの返済になっていました。クレジットカードの支払いをリボ払いにしていて、この返済額だったのでかなり大きな出費です。
ただ、僕は実家暮らしだったので、家賃や光熱費がかかりませんでした。親は僕を甘やかしていたので、社会人になっても生活費などを取られることはなく、悠々自適に暮らしていました。なので、リボ払いの8万円の借金と携帯などの雑費以外は、課金していました。
<当時の支出>
- 携帯料金:5万円
- クレジットカードリボ払い:8万円
- 生命保険:1万円
- 食費:2万円(飲み会などにかかる費用)
- 課金:6万円
しかし、課金額が6万円では少なすぎて、ガチャも思うように回せなくなり、苦しい思いをしていました。
借金が親にバレて、返済してもらう
ある日、楓さんの新規カードが出て、6万円を課金してもカードが手に入らなかったのです。そこで、クレジットカードの支払いのお金を課金に回してしまいました。
すると、未払いが発生したので自宅に書類が届き、あっけなく借金していることが親にバレてしまいました。
何に使ったんだと両親に叱られ、社会人にもなって両親の前で、正座で謝罪をしました。母は泣いていましたが、父は激怒していました。
結局、借金は金利がかかるからと、父が一括で返済してくれました。
そして僕は父に返済をするという約束をしました。
もちろん、ソシャゲを止める約束もしました。
ここで一度200万円の借金が帳消しになったのです。
その後、借金が300万に
父に借金を肩代わりしてもらったおかげで、クレジットカードを使うことが出来るようになりました。するとクレジットカード会社から電話があり、「使用限度金額を100万円から200万円にしますよ」という電話があったのです。
どうやら借金を一括返済したことで、返済能力があると判断されたようです。
もしもの時に使えればいいなという気持ちで、使用限度額を200万円にしてもらっていました。借金してはいけないと、気を付けていましたし、一時期アプリもやめていました。毎日仕事に行き、親に借金を返す日々を続けていたのです。
ですが、結局1か月たたないうちにアプリにログインをして、課金してしまったのです。
今度は大きな借金にならないように、親にバレないようにすれば大丈夫だと思いながら、月1万円ほど課金していました。
課金量は減ったのですが、クレジットカードで支払うこと・リボ払いにすることに慣れてしまい、借金するという意識が低くなっていた僕は、少し高級なスニーカーを購入するときなどにクレジットカードを使っていました。
二年が経ち、父が立て替えてくれた借金が残り半分くらいになったころ、僕のクレジットカードの借金は300万円まで膨れ上がっていました。
現在も、親にバレないように返済している
次に借金をしたら勘当だと父に怒鳴られていたので、僕は親にバレないように必死に返済をしています。
まず初めにやったことは、自分の収入と月々の支出を書き出すことです。書き出してみると、日々使っている金額が収入より多くなっていることに気付くことが出来ました。
外食やコンビニ弁当などを止めて、自分でお弁当を持ち歩くことに変えて、支出を減らすように努力しています。
また、今まではアプリのために残業はせずにすぐに帰っていましたが、仕事にも真面目に取り組むようになり、必要な残業をすることで収入自体も少し増やすことが出来ました。
現在では収入より支出が少なくなっていますし、借金を返済しながらでも、自分の口座に貯蓄出来るようになっています。
500万の借金を返済しながら思うこと
借金を返済しながら思うのが、この借金がなかったらもっと自由に遊べるのにな、ということです。クレジットカードで支払った金額に、利子がついているので使った金額より多くの金額を返済しなければいけないので、損をした気分にもなっています。
また、僕がアプリにハマってから、借金をしてから友人と遊ぶ機会が減り、今では遊びに行くお金を用意することも大変でほとんど断っているからか、友人も減っている状態です。借金を返済したら友人と遊びたいなと思いながら、日々借金を返済しています。
今月も使えるお金が少ないので、次の給料日になるのを待っている状態です。
借金しなければよかったと後悔しています。