【体験者のプロフィール】
- 性別:女性
- 年齢:50歳
- 職業:事務職
- 借金 : 300万円
度重なる窃盗で息子が逮捕
息子が初めて逮捕されたのは24歳の時でした。近所の家に忍び込んで窃盗を行っていたらしいです。警察が取り調べたところ、窃盗件数は数十件にも渡り被害総額は数百万。
当時それを聞いた私は頭が真っ白になりましたが、それと同時に申し訳ない気持ちで一杯にもなりました。
私には娘と息子がおり、旦那とは娘が生まれた時に離婚しました。当然家計は厳しく私は朝から晩まで働き詰めで、息子はいつも娘の面倒を見てくれていました。
そんな状況で育ってきてしまったせいか、息子はお金に対する執着心がかなり強かったです。そのせいで息子は今回の犯罪をしでかしてしまったのではないかと私は思います。
その時は運よく、息子に執行猶予が付き釈放されました。
しかし、それから2年後、息子は再度窃盗を犯し、懲役4年の実刑判決が下されたんです。
息子に借金がある事が発覚
息子に借金があるのは警察の取り調べによって発覚しました。最初に逮捕されて釈放されてからはまともな職に就く事ができず、借金をして生活をしていたようです。
その返済が滞ってしまい、何とかしなくてはと考えた結果、再度窃盗してしまったというのが動機だそうです。
お金を借りている額は300万円。5件の銀行と消費者金融から借りていると接見の際に息子から聞かされました。
お金に執着していた息子が借金をし、更にそれが親に知られてしまう。接見中の息子は悔しそうな顔で涙を浮かべていたので、かなり屈辱的だったのでしょう。
息子は釈放後に返すとか、仮釈放ですぐに出てやるなんて言い、頑なに私が借金を立て替えるという提案を断り続けていました。
調べてみたところ、息子の借金を親が払う必要は一切ないのですが、釈放された時に借金があれば再び息子が窃盗を犯してしまうのではないかと不安で仕方なかったんです。
息子を説得し、借金を肩代わりする事に
1日1回、限られた時間で私は必死に息子を説得しました。結果、息子も現状と将来の事を理解してくれたみたいで折れました。
息子のカード類が入った財布などは、宅下げという手続きを経て、なんとかカード類だけを回収できました。
ただ、問題はここからです。息子が背負った300万円の借金を肩代わりしたのはいいのですが、どうやってこの借金を返済していくか。
私の収入は手取りで月17万円。ここから毎月6万円を返済に充てなければいけない為、残りは14万、更に家賃の6万円も引かれるので、私は1か月5万円で生活しなければいけない状態に陥ってしまいました。
借金返済について弁護士に相談してみた
生活費は僅か5万円。光熱費や食費、通信費などで尽きます。
生活はかなり厳しく、家計は毎月赤字。少ない貯金を崩しながら何とかしていましたが、貯金が尽きた後の事を考えると、もうどうする事もできないと考え私は弁護士を頼りました。
そこで弁護士から教えてもらった方法は、弁護士自身が息子と接見して債務整理の手続きを進めるという方法です。
債務整理というのは借金の負担を減らす手続きだそうですが、借金をしている本人以外は原則できないそうです。
要するに、債務整理をすれば息子へ私が借金返済に困っているという事が知られてしまうという事です。私はできればそれは避けたかったんです。
息子がその事を知れば、おそらく強い罪悪感を抱いてしまう可能性がありましたので。
なので、弁護士の方から教えてもらった債務整理という方法は最終手段として考え、他の方法を模索しました。
自分名義で借金を作り、息子の借金を返済した
まず、借金の名義人が息子である事は非常に厄介でした。私名義に変更できないものかと調べましたが、それは難しいらしく私ではどうする事もできませんでした。
そこで考えたのは、私名義で新たにカードを発行し、息子の借金を返済してしまおうという方法です。
既にカードローンは1枚所有していましたが、限度額は100万円。残りの200万円は2社の銀行でカードローンを契約しカバーしました。
額が額なので、何社か審査で落とされもしましたが、これで無事、息子の借金を私名義の借金に移す事が完了しました。
また、もともと5件あった借金を3件にまで減らす事もできたので、月の返済額も5万円に抑えることができ、利息も下がりました。
ただ、それでも借金の返済は苦しく、借金の名義が私になってから半年ほど経った頃に弁護士へ任意整理をお願いしたんです。
私名義なので息子に知られる事もありませんでした。
現在でも借金の返済は続いていますが、任意整理のおかげで月の返済負担を3万円にまで抑えることができたので、生活はある程度安定しています。