【体験者のプロフィール】
- 性別:男
- 職業:会社員
- 年齢:36歳
- 借金:約600万円(MAXで)
- 対応方法:任意整理、自己破産
多重債務の始まりは、仕事上の借金がきっかけ
社会人として2〜3年目の、20代中頃の頃の話です。
私は自身の不注意によるミスが原因で、業務上で金銭事故を発生させてしまいました。
当時の私は社会経験が乏しく、自分のみに非があると思い込み、上司に言われるがままその損失の補填を行うことになりました。
その額、およそ400万円。
とてもじゃないですが、社会人になりたての人間が背負える額の借金じゃありません。
今思えばその時の上司の言葉を鵜呑みにせず、周りに相談すればよかったなと本当に後悔しています。
特に、法律のプロである弁護士や司法書士の方に相談していれば、状況は全く違ったのだろうとさえ思っています。
公正証書というものがどういう公的な力を持っているのかも知らず、言われるがままにサインした当時の自分を情けなく思います。
しかし当時の私は「周りにバレたくない。」「親に心配をかけたくない。」という気持ちから、代わりに補填していた上司たちに対して、その補填金全額を私の借金とし、上司達に返済していくという手段を取ることになりました。
設定された毎回の借金返済額は、当時の給料から考えると非常に高く設定されており、次第に返済が滞るようになりました。
日々の生活もままならないようになってきたため、消費者金融から借りたり、友人や親に嘘をついてお金を借りたりするようになりました。
こうして、借金まみれの転落人生を、ものすごいスピードで転げ落ちることになりました。
借金地獄で、毎日死ぬことしか考えていなかった
借金をしたことで苦しかったことや大変だったことは、やはり毎月やってくる返済です。
督促もそうですが、毎日毎日借金と返済のことしか頭にありません。
貯金なんかあるはずもなく、給料が入れば数日で底をつくような生活です。
安易な考えで一発逆転を狙って、宝くじやギャンブルにハマったり、全くお金の勉強をせず、投機的に始めたFXで200万円ほど借金が増えてしまったこともあります。
返済ができずに司法書士の方に相談しに行ったところ、当時過払金請求も流行っていたので任意整理を勧められ、消費者金融4社については任意整理をしました。
結果として一部の消費者金融に対しては、利息のカットや返済の猶予をもらうことに成功しました。
しかし、消費者金融のみの負担が少し楽になっただけで、個人間の借金には一切手をつけていなかったので、根本的な解決には至りませんでした。
借金返済のために生きているような毎日。
借金を借金で返す毎日。
ここまでくると、転落人生の人間として末期のように思います。
首が回らなくなってきた頃には、生きた心地がしなくなり、本当に毎日死ぬことしか考えていませんでした。
「どうやったら楽に死ねるのだろうか。」
「今日が息子と最後の日かもしれない。」
そう思うと、自然と目は虚になり、覇気も一切なくなっていきました。
当時の体重は今より15キロも痩せていました。
標準体重である今の状態から考えると、病的に痩せていたと思います。
なので、今でも当時の写真はあまり見返したくありません。
借金地獄で返済も滞り、新たな借金ができなくなってくると、今度は自宅に郵便物が届くようになりました。
督促の郵便や裁判所からの通知です。
特に裁判所からくる封筒は表紙に〇〇裁判所と書かれているので、精神的な苦痛が酷かったです。
ただしそんな状況にもかかわらず、借金のことや生活に苦労していることは家族に隠し続けていました。
必要以上に話さなかった、という方が正しいかもしれません。
妻に嘘をつき、話をはぐらかしてその場をなんとか誤魔化したことなんて、数え切れないくらいありました。
言える嘘と言えない本当。
どこまで本当のことを言って、どこからは嘘で話さなくてはいけないのか。
今思えば、最初から借金のことを洗いざらい話した方がよっぽど事態が好転するはずなのに、当時の私はできませんでした。
多重債務者となってしまった自分を、人として完全に落ちぶれてしまった自分を、認めたくなかったんだと思います。
早く相談しておけばよかった
そんな精神状態がギリギリの生活を送りながら、年がかわり、新年度が始まりました。
年始や年度末の出費も重なって、いよいよ本当に生活が立ち行かなくなりました。
そこにきて私はようやく法律家のもとへ相談にいき、その結果、自己破産をしましょうとアドバイスを受けました。
今思うと、この自己破産のために必要な費用を一生懸命貯めていた時期が、一番前向きに頑張っていたかもしれません。
手付金の3万円を払うだけでも、ものすごく苦労した覚えがあります。
自己破産をすすめることにことになってから、返済が一旦ストップになりました。
費用の積み立ては必要でしたが、毎月の給料のうち家族で使えるお金や自分のために使えるお金が、劇的に増えました。
毎日朝ごはんと昼ごはんが食べられる生活。
週末には晩酌ができたり、息子におもちゃやお菓子を買ってあげたりできる生活。
転職もして、過去の人間関係は借金と共に整理されました。
もちろん失ったものも多くありますが、自己破産をすることで社会人になって初めて「人間らしい生活ができているな。」と実感しました。
皮肉かもしれませんが、自己破産をすることで、社会人になって初めて「人間らしい生活ができているな。」と実感しました。
妻と息子には悲しい思いをいっぱいさせてしまっていましたので、これからは心を入れ替えて真摯に家族と向き合い、借金のない生活を送っていきたいと思っています。