借金の踏み倒しは犯罪?名前や住所を変えたら逃げ切れるか

借金をして返済が苦しい場合、考えがちなのが借金の踏み倒しはできるのか?ということです。
借金を踏み倒す=逃げ切る方法として考えられるのは、時効、名前を変更する、引っ越す、夜逃げなどです。
これらを実行して、実際に逃げ切ることは果たして可能なのでしょうか?

あわせて借金を踏み倒すことは犯罪になるのかどうかも紹介したいと思います。

借金の踏み倒しは犯罪になるのか?

返済するという前提でお金を借りて、返済をせずに逃げる…これが借金の踏み倒しです。
この場合犯罪になるのでしょうか?

考えられる罪は「詐欺罪」ですが、意外にも借金の踏み倒しは犯罪にはなりません。
なぜ犯罪にならないのか?

借金は返済する責任はあるものの、その責任は民事上のものであるため、刑事罰を受けることはありません。

踏み倒しは実際に可能なのか

それでは実際に借りたお金を踏み倒して返さないということは可能なのでしょうか。
結論から言えば、それは現実的ではありません。

時効が成立すると返済しなくてよい

借金には時効があります。
時効が成立すれば、借金の返済義務は消滅します。

時効期間が過ぎたら必ず「時効の援用」手続きをすること

借金の消滅時効期間は原則5年ですが、その起算日は最後に借金を返済した日の翌日です。ただし、時効が成立した際に債権者に時効を迎えたので借金を返しませんということを主張をしなければなりません。これを時効の援用といいます。
この手続きをしなければ、たとえ時効の期間が過ぎていても時効は適用されません。

期間が過ぎても時効が認められないケースがある

期間が過ぎて時効の援用手続きをしようとしても、時効が認められないケースがあります。認められないケースは以下になります。

  • 過去に訴訟や支払督促などの裁判手続きをおこされていている。
  • 時効成立までの期間に「債務の承認」をした場合

過去に債権者から裁判手続きをされていた場合、消滅時効は中断され、新たに5年間の時効期間がスタートします。また、「債務の承認」をした場合も同様です。
債務の承認とは以下のようなことです。

◆債務の承認

  • 支払いについての話をする
  • 和解書を取り交わす
  • 一度でも支払いをする

時効成立までの間に、この中の1つでも行った場合は時効期間が延長することになります。

名前が変われば借金の返済はしなくてもよい?

結婚をしたり、養子縁組をしたりして名前が変われば、借金を返済しなくても良くなるのではないか?
このように名前を変えることで踏み倒しができるのでは、という考えが頭をよぎるかもしれません。

答えはNOです。

結婚しても養子縁組をしても、借金の返済義務は変わりません。
名前が変わったとしても、以前の名前への督促が、新しい名前宛てに届くだけで自体は何も変わりません。
住民票や戸籍から容易に特定されることはあきらかです。

戸籍も業者が調べることが可能です。

住民票を移して引っ越してしまえば逃げられる?

それではそもそも住民票自体を他に移してしまって、引越しをしてしまえば取立てから逃れられるのでは?
このようなことで取立てから逃れることは可能なのでしょうか?

住民票は追跡される

住民票を移して引っ越したあと、郵便局で住所変更手続きをしなければ、郵送の督促状などはしばらく届かなくなるかもしれません。
しかし時間が経てば引越し先に督促状が届きます。

住民票は追跡されます。

債権者は、住民基本台帳法第12条の3第1項第1号「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者」にあたるため、住民票を調べる事ができます。

このことから、たとえ住民票を移して引っ越したとしても、取立てや返済の義務から逃れることはできません。

夜逃げで取立てから逃げることはできるのか

ひと昔前にテレビドラマで借金取りから夜逃げで逃げるといったものがありました。
夜中に近所の目をはばかりながら、トラックで最低限のものを運び出して遠い場所に引っ越していく。
果たして実際に夜逃げで取立てから逃げることはできるのでしょうか?

先程紹介したように、引越しをしても住民票を引越し先に移せば追跡されて居場所を特定されます。これでは夜逃げをする意味がありません。
俗にいう夜逃げの場合は、住民票を引っ越す前の住所に置いたまま引っ越します。

夜逃げしてひっそり暮らし、時効を待てば逃げ切れる?

住民票を旧住所に置いたまま、時効までの期間を逃げ切って時効の援用の手続きができれば、逃げ切る事は可能です。

ただし住民票を新しい転居先に移動させない場合、以下の様なデメリットがあります。

  • 選挙権がなくなる
  • 自動車免許の更新ができない
  • 確定申告ができない
  • 福祉サービスや公共施設を利用できないことがある

これらによって、転居後の生活に支障がでることになります。
そして債権者も、業者を雇うなどして転居先をなんとしても探そうとするでしょう。

そもそも、先程も紹介した通り、時効が完成するまでの期間に訴訟や支払督促などの裁判手続きを起こされれば、時効は中断されることになります。

住民票を旧住所に置いたまま夜逃げして、通常利用する事ができるサービスや権利を放棄してひっそりくらし、債権者がなにも対策を取らずに時効まで逃げ切り、尚且つ時効の援用の手続きができれば晴れて逃げ切れたことになります。
しかし現実的ではないことは明らかです。

踏み倒しより債務整理

踏み倒し行為そのものや逃げることは罪にはなりませんが、やはりデメリットの方が多いと言わざるを得ません。もし踏み倒しを考えるほど追いつめられているなら、とにかく債務整理へと進みましょう。

債務整理は3つの方法(任意整理・個人再生・自己破産)があり、何が一番メリットが多いかを弁護士や司法書士などのプロが判断してくれます。

踏み倒しと比べると債務整理では裁判所または契約が間に入ることで、お互いに納得して話をすすめることが出来ます。踏み倒しでは相手の恨みを買い延々と取立てされるわけですから、大きな違いがあると言えるでしょう。

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